1
「銀ちゃーん、おめでとうアル」
「銀さん、おめでとうございます」
「悪ィな、ありがとうよ」
下の階のババァのとこで開かれた誕生日パーティー。
賑やかで、楽しくて、いつも通りの面子で、最後はいつも通りわけわかんなくなって盛り上がった。
盛り上がってる中で‥‥‥なぜだかその様子を冷めた目で見ている俺もいた。
宴会も終盤になった頃、もういいだろうと思い、厠へいってくる、と酔ったフリをしてそっと抜け出した。
喧騒の街をフラフラと歩く。
酔っ払いの酒の匂い、女達の化粧の香り、眩しいネオンも掛かる呼び込みの声も、全てが夢のようで現実味を帯びていない。
時々訪れる例えようもない焦燥は確実に自分を追い込み、思い出させる。
むせ返る血の匂い、緊迫した空気、生温い肉の感触。
不意に、キーンと耳の奥が鳴り、その大きさに周囲の喧騒は聞こえなくなる。
俺は、今、どこにいる?
「‥‥‥時!!おい、聞こえてんのか?」
ガシッと肩を掴まれ、体の向きを変えさせられる。
「ったくよ、どこほっつき歩いてんだよ。必死になって仕事仕上げて飛んで来たっつうのに‥‥‥‥オイ、どうした、顔色悪ィぞ」
誰、だっけ‥‥‥ああ、こいつは
「ひ‥じ、か、た‥‥‥」
「オイ、銀時っっ!」
土方の焦った顔が見えた。
口がパクパク動いてるけど、その声は聞き取れない。
目の前に闇が降ってきて、全てを包み込んだ。
[次へ#]
[戻る]
無料HPエムペ!