[携帯モード] [URL送信]


「銀ちゃーん、おめでとうアル」

「銀さん、おめでとうございます」

「悪ィな、ありがとうよ」


下の階のババァのとこで開かれた誕生日パーティー。
賑やかで、楽しくて、いつも通りの面子で、最後はいつも通りわけわかんなくなって盛り上がった。
盛り上がってる中で‥‥‥なぜだかその様子を冷めた目で見ている俺もいた。
宴会も終盤になった頃、もういいだろうと思い、厠へいってくる、と酔ったフリをしてそっと抜け出した。

喧騒の街をフラフラと歩く。
酔っ払いの酒の匂い、女達の化粧の香り、眩しいネオンも掛かる呼び込みの声も、全てが夢のようで現実味を帯びていない。

時々訪れる例えようもない焦燥は確実に自分を追い込み、思い出させる。
むせ返る血の匂い、緊迫した空気、生温い肉の感触。

不意に、キーンと耳の奥が鳴り、その大きさに周囲の喧騒は聞こえなくなる。



俺は、今、どこにいる?



「‥‥‥時!!おい、聞こえてんのか?」


ガシッと肩を掴まれ、体の向きを変えさせられる。


「ったくよ、どこほっつき歩いてんだよ。必死になって仕事仕上げて飛んで来たっつうのに‥‥‥‥オイ、どうした、顔色悪ィぞ」


誰、だっけ‥‥‥ああ、こいつは


「ひ‥じ、か、た‥‥‥」

「オイ、銀時っっ!」


土方の焦った顔が見えた。
口がパクパク動いてるけど、その声は聞き取れない。
目の前に闇が降ってきて、全てを包み込んだ。


[次へ#]

1/8ページ

[戻る]


あきゅろす。
無料HPエムペ!