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シアワセニ

「土方ぁ、別れよ」



朝起きて、不意打ちのようにそんな言葉を言われた。

銀時についてたキスマーク。
俺じゃないのは、明らか。
俺は‥‥‥銀時に触れていない。

わかってるさ、お前が悪いんじゃないって。
わかってるさ、全部俺が悪いんだ。

でも、頭に血が上った俺はあの時お前を傷付ける言葉しか口から出て来なかった。

別れの言葉を吐き出しながら拳を握り締める。
爪が肉に食い込んで、血が滲む。

これでいいんだ。
俺は、お前を幸せにできねぇ。
お前を好きな奴がいるなら、それでいい。
少し冷静さを取り戻して玄関に向かった。

部屋を出るとき、銀時がかけた言葉が耳にずっと残っている。



「さっきさ、『銀時』って呼んだの、どのくらいぶりか知ってる?」



自分のことで手いっぱいになってお前のことなんかちっとも考えてなかったんだな、俺。

銀時、悪かったな、寂しい思いさせて。
俺じゃぁ、お前を幸せにしてやれねぇ。
きっとこのほうがいいんだ。
俺を忘れたほうがいい。
お前をこれ以上泣かせたくない。

俺のわがままでお前を離したくなかった。

傍にいたかった。

でも、解放するよ。

お前の泣き顔は見たくない。

後の人生、お前が気付かないところでお前に捧げるよ。





幸せを願って。







――――――――――

完全、すれ違いの二人。

20090930

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