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「くッッッ!!」
充分に濡らし、慣らしたといえども、モノが違う。予想以上の締め付けに俺の方も顔をしかめる。
銀時の方はと見ると、声をあげるどころか息も絶え絶えという状態で眉間にシワを寄せ、苦しそうな顔をしている。
「銀、時。力‥‥抜け。こっちもキツイ」
「力、抜くって、わかんない」
小さな声でやっと答える銀時に舌打ちしそうになったが、初めてだといっていたのが嘘ではないと今さらながらに核心する。
穿ったままの体勢で優しく口づけをし、萎えてしまっているモノを軽く扱く。
そうしているうちに、堅さを増してくるモノに反比例するように、段々と表情も緩み締め付けも少し緩和されてきた。
その隙にユルユルと動きだしたら「気持ち悪い」と呟いたが、そのうちに違うものへと変わっていったようだ。
先程探り当てた銀時の感じる場所を目がけて腰を叩きつける。
「んあッ、トシッ、なんかもう、ぐちゃぐちゃ、俺、もうダメッッ」
涙を零しながらそんなこといわれたら、俺だってもつわけないだろうが。
「ハッ‥‥俺だってもうもたねぇよ」
そう言い捨てて、熱を開放するために腰をさらに打ち付ける。
「ああッッッ、も、イ、クッ」
そういったかと思うと、勢いよく白濁が噴き出してきた。その衝撃に、俺も銀時の中へと精を放った。
「悪ィな、中出しするつもりはなかったんだけどよ」
行為のあと、処理をし衣服を整えながら、罰が悪くなりそう言った。
本当にそんな気は無かった。
ただ‥‥我慢出来なかった。ガキじゃあるまいし、んなことをした自分が恥ずかしい。
「別にいいよ。後、家に帰るだけだし」
「ほんと、悪ィ。あ、家まで車で送ってやっから。仕事終わるまで待ってられっか?」
「うん。でも、大丈夫かな、一緒に帰って」
「大丈夫だろ、具合悪いっていってあっし。それに‥‥‥歩いて帰んの、辛いだろ」
「先生、エロい。オヤジくさい」
「どうせエロいし、オヤジだ」
「エッチしてる時の顔もエロかったもんね」
「それはお前もだろうが」
負けじと言い返す。
きっと俺は相当やばそうな顔してたんだろ。
自分でも振り返ると恥ずかしいくらいだ。
「トシ‥‥の、あんな、余裕のない顔初めてみた」
トシと呼ぶ声がまだ気恥ずかしいのかそこだけ小さい。
そりゃあそうだろうがよ、あんなに余裕がないのは自分でも初めてだった。
そうさせてんのはお前だろ?銀時。
「これからいつでもみれっかもな。ただしお前が望めばな、銀時」
そういうと銀時の瞳が潤み、また涙が溢れ出る。
「いつでも?」
「お前が望むなら」
「だって、特別になりたい」
「何言ってんだ、もうとっくに特別になってんだよ、お前は」
「本当?」
「ああ」
ベッドに腰掛けている銀時を抱きしめると、シャツが熱いもので濡れていく。
その頭を撫で、そっと口づける。
まるで、さみしがりやのウサギのように紅い瞳を潤ませて、小刻みに震えている。
かわいい、孤独なウサギ。
「俺なんかが、トシの特別でいいの」
「随分と弱気だな。さっきまでの態度はどうした」
「だって、信じられな‥」
そういってまた零れる涙を指で掬う。
「そんなに泣くな。なんか俺悪いことしてるみたいじゃねぇか。‥‥‥まあ、先生と生徒っていう立場上やっちゃいけねぇことしたがよ」
「ち、違うよ!トシは悪いことしてない。誘ったの、俺だし」
「んじゃ、せいぜいバレないように協力して貰わないとな」
「わかってる。バレっとやばいよな」
「当たり前だろ、あくまでも俺らは先生と生徒。卒業するまでは、セックスはしねぇ」
そういった途端、シュンとうなだれる銀時。
垂れ下がった長い耳が見えそうだ。
「学校ではな。それ以外はしんねぇけど」
「え?それって‥‥‥」
このくらいは成績良くないお前でも読みとってくれよな。
おーおー。
はっきりわかりすぎだろ、嬉しそうな顔して。
そんな銀時の笑顔に満足。
後悔なんてするもんか。
手に入ったかわいいお前を手放したりはしない。
卒業までのカウントダウン。
護り通してみせる、二人の関係。
20090909
→あとがき
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