激情5
「なあ土方、お前、結構嫉妬深いのな」
「悪ィかよ」
「ううん、全然。嫉妬してもらうくれぇじゃないと愛されてる気がしねぇじゃん」
嬉しそうに笑う銀時は、とても綺麗。
「悪かったよ。俺の勘違いで」
「わかればいーんだよ、わかれば」
「じゃあ、さわっていいか?」
「どおぞ」
といって抱き着いてくる。
銀の髪を手ですき、頬にキスをする。
次は軽く唇に。
最初はついばむように、徐々に深く。歯列をなぞり、舌を絡ませ息が上がるまで口づけした。
解放するとトロンと上気した銀時の表情と、朱く染まった唇に独占欲が沸き上がり、首元に紅く所有の印をつける。
「んっ‥‥‥ばっか、土方。んな目立つところにすんじゃねーよ」
「目立たなきゃ意味ねぇだろうが」
「じゃあ、俺も」
「お、おいっ」
お返しにとばかりに、ちゅうちゅうと痛いほどに吸い付かれ、多分くっきりと残っただろう跡に苦笑い。
「こりゃあ、屯所に帰ったら何言われるかわかったもんじゃねぇな」
隊服ならまだしも、今着てる着流しじゃあ丸見えだ。
でも、嫌じゃない。
どころか、いつもあっさりしている銀時の珍しい行動に嬉しささえ感じる。
「いいじゃん、たまには」
そういって紅い舌をペろりと出す。
「なあ。一つだけ許せねぇことがあんだけどよ」
「ん?まだなんかあんの」
訝しげに聞いてくる。
「お前、あの女に『大好き』とか言ってただろ。俺、まだ一回もそんな台詞いって貰ったこたあねぇんだけど」
そういうと、銀時はケタケタと笑い出した。
「お前、ほんっとよく聞いてたのな。あんなん、ただ言ってるだけだろ。挨拶と一緒だよ、挨拶。女達だって言われ慣れてんだからんなもんこれっぽっちも気にしてねーよ」
「それでも、俺は気になんだよ」
「俺、一回も言ってなかったけか」
「一回もな」
「んじゃあ、心して聞いとけよ」
ギュッと抱きしめられ、耳元に甘い声が。
「土方、大好きだよ」
初めて聞く言葉に顔が熱くなるのを感じる。
っていうか、全身が熱い。
銀時を抱きしめ返し、肩に埋められた顔を盗み見ると、コイツの顔もピンクに染まっていた。
「冗談でも、もう他のやつに言うなよ」
「わかったわかった。じゃ、土方限定で」
そんな嬉しいことを言われると我慢出来なくなる。
「まだ、朝まで時間あるし、ちょっと寄ってかないか」
「ハハッ、男って即物的だねぇ。なんかもうちょっとこう、ロマンチックに言えないのかよ?」
「んなもん、慣れてねーんだからしょうがないだろ」
「慣れてたらやだけどね」
「どっちなんだお前は!!」
「んじゃ、行きますか」
「おい!」
そういってさっさと前を歩いていってしまう。
後を追いかける、俺。
今は心の奥にしまい込む。
お前に、嫌われたくないから。
愛情を通り越す激しい思い。
その名は、『激情』
20090801
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