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激情2


「キャー!髪の毛ふっわふわねぇ。柔らかくて気持ちいー!」


傍らの女がアイツの髪を撫でている。


「え、マジ?いやあ、天然パーマってなかなかウケ悪ィんだけどね。お姉さんみたいなキレイな人に気に入って貰うなんて捨てたもんじゃないねぇ」


なんて、にこやかに答えてる銀髪。


胃に苦いものがあるような感覚がして、それを酒を流し込んで無理矢理に納める。

おい女、ベタベタさわんじゃねぇよ。
銀時、お前もお前だよ。
気安く触らせてんじゃねぇ!
お前は俺のもんだろうが!!
あれか?
女は別腹とかいうんじゃねぇだろうな。
だいたい銀時、お前今日は仕事だとか言ってただろ。
せっかくの非番をお前と過ごすの、楽しみにしてたんだぜ。
なのに珍しく仕事だなんていいやがるから、俺ァ我慢したんだ。
暇だろとかなんとかいわれてとっつぁんに駆り出されてココに来るまでなあ、お前にのことで頭ぁいっぱいだったんだよ。
なのに今は別の意味でお前のことで頭いっぱいだぜ、チクショウ。
やべ。
頭に血が昇りすぎてガンガンしてきた。

どうしても目に入って来る銀時に、とっつぁんの前で絡みにいくわけにもいかず。
ただただ、酒を流し込みながら見ていただけだった。

女の腰や肩にまわされた手を。

俺以外に向けられている微笑みを。

楽しそうにはしゃいでいるその姿を。










「ね、お千枝ちゃん。このあと、俺とアフターどお?」

「ん〜〜?それはお侍さんの頑張り次第かなあ。お千枝、今月あとちょっとでお店のトップになれそうなんだよねぇ。最近、追い込まれてて、今のまんまじゃ心配で遊びになんていけないわあ」


オイ。
お前、何言ってんだよ。
アフターだあ?
ふざけんじゃねぇぞ。
お前の仕事帰りにちょっとでも会えりゃいいなとか思ってた俺をほっぽらかしといて、更にどっか行くだあ?


「いいですよ、お姫様。何なりとお好きなものをどうぞ」


お前ぇはどこぞのホストかよ。


「うーん、じゃあね、もし、もしもよかったらね。ピンクちゃんは飲んだことあるからね、ブラック飲んでみたいの‥‥ダメかなあ?」


ちょこんと首を傾げながら可愛らしさを振り撒いている。
あれだろ、ピンクとかブラックとかって飲み屋には付き物の高級シャンパンだろうが。
いくら富くじに当たったとかいってもそこまであいつも馬鹿じゃねーだろ。なんてったってアイツの家にゃあ胃袋がブラックホールみたいな娘もいるしなあ。ましてや、ブラックなんて、お前の大好きなパフェ何百杯食べれんだよ。なんて考えてたら。


「もちろん、いいですよ。大好きなお千枝さんの為なら」


そういって女の手を取り、その甲に口づけした。


女は嬉しそうに微笑み、騒がしいシャンパンコールが始まった。



さっきまで、カッカと沸騰しているような頭が、一気にサァーッと音をたてて冷えていった。





「大好き」





銀時、俺ァ、お前からんな言葉一度も聞いたことねぇぞ。


昏い、嫉妬の念が黒く渦巻くのを感じた。


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