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激情1


「あいつ、よく来んのか」


開口一番、隣に来た女に問うたのはそれだった。


「あぁ、銀髪のお侍さん?そうねぇ、ここ最近よく見かけるかしらね。副長さん、お知り合いなの?」

「いや‥‥‥金持ってなさそうな顔してんのに、ヤケに女がついてるなあと思ってよ」

「なにか富くじでも当てたらしいですよ。どんどん飲ませてくれるらしくて、女の子が付きたがるんですよ。なあにぃ副長さん、羨ましいんですか?私じゃ御不満かしら?」


そういって妖艶に微笑む女はこの店のトップ。不満などと言えるはずがない。


「いや‥‥‥そんなことはない。それに俺はただの付き添いだからよ」

「ふふ。またそんなこと言っちゃって。そんな副長さんだから好きなんですけどね。あら、ちょっと失礼します」


そういって去っていった女は年は若くはないが、女を感じさせる独特の雰囲気と店を仕切る貫禄を持っていた。


「おやぁ〜〜〜トシィ、ず〜いぶんとママに好かれちゃってんじゃないのぉぉ?お前も隅におけねぇなぁ。お父さん妬いちゃうよぉ」

「松平のとっつぁん、俺はアンタの夜遊びに付き合いで来てんすけど。絡まれるくらいなら仕事に戻ります」


いい加減、イライラとしていた上に絡まれたとあっちゃたまったもんじゃない。


「そんなこというなよぉ、トシィ。わかったわかった、俺が悪かったよぉ。だからもうしばらく付き合って飲もうぜぇ」


そう言ってはグラスに酒を注いでくる。
そう、ここはとっつぁん行きつけのなかなか値が張りそうな飲み屋。
飲み相手が欲しいからと、真選組メンバーがしばしば駆り出されることが度々ある。
今日はたまたま俺に順番が回ってきただけ。
それだけのこと。
適当に付き合って後は帰ろうと思っていた。

−−−−−なのに。

アイツが、いた。

両側に女をはべらせ、へらへらと笑ってるアイツ。
俺らは一段高いVIP席にいるからミラーはあるし向こうからは見えてねぇだろうが、こっちからは丸見えだった。





何やってんだよ、てめぇはよぉ!


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