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「さ、着きましたよ旦那」
そこは少し離れた、檜木作りのいい香のする露天風呂。
中に入り誰もいないのを確かめてから、清掃中の札をかける。
「旦那、先に入っててくだせェ。ちょっと酒貰ってきます」
「待ってるよ〜」
長椅子に座り手を振っている姿はもうただの酔っ払い。
ほくそ笑みながら酒を調達にいく。沖田は‥‥全然酔ってはいなかった。
酒を乗せた盆を手に、再び戻ると、さっきと同じ姿勢で寝入ってる銀時が、いた。
「旦那、風呂入るんでしょ。起きてください」
ゆさゆさと揺らすと薄く目を開けた。
「うん。そうだ‥風呂。服‥‥脱がなきゃ」
「そりゃそーですよ。脱がなきゃ風呂は入れませんぜ」
そういう沖田の目はキラリと光る。
ダラダラと帯をほどこうとして失敗している銀時を待ち切れず、手を出してしまう。
「手伝いますよ」
腰帯を取ると現れたのは、かわいいイチゴ柄のトランクスと酒でうっすら色付いた肌にある、ピンク色の乳首。
浴衣を脱がすつもりがついつい指が胸の突起に吸い込まれる。
軽く摘み、指で小刻みに弾くと。
「あっ‥‥ん‥」
甘い吐息が漏れた。
もっと聞きたいと刺激を増やすが、聞こえたのは。
「ん‥‥ひ‥じかた?」
という声。
「土方じゃありやせん」
噛み付くように、キスをする。頭を押さえ、逃げられないようにして。
口の中を思う存分蹂躙し、唇を開放した時には、ケホッと苦しそうにしている銀時が目に入った。
「俺は土方じゃありませんよ」
銀時が涙目になりながら見上げたその時。
パァァァァァン!!と。
誰も来ないはずの扉が、勢いよく開いた。
ハァハァと荒い息をした男は、土足のままドカドカと入ってき、沖田の浴衣を掴み上げた。
「総悟ォォ!てんめェェ!!」
「どうしたんですかい、土方さん。そんなに瞳孔開いて」
土方に対して沖田はいたって普通に、いや低めのテンションで対応する。
「テメェ、ここでなにしてる」
「何してるって‥‥旦那と二人で月見酒でも飲みましょうかって来たんですけど‥‥なんか問題でもあるんですか」
しれっと答える沖田に、何も言えず何か理由を探す。
「何かって、アレだ!よよ万事屋の浴衣が乱れてるじゃないか!これはどうゆうことだ!!」
「‥‥‥土方さん。アンタほんと馬鹿以外の何者でもありませんね。‥‥風呂入るときゃ、普通服脱ぐでしょーが」
はぁ、と溜息混じりに言われ、顔に血が集まる。
「とと、とにかく!俺は万事屋に用があるんだ!こいつは連れてくぞ」
「へーい。どうぞ。俺はゆっくり風呂でも入りまさぁ」
土方は銀時に浴衣をキッチリ着せると、まだふらふらしている銀時の手を引いて出ていってしまった。
「あーあ、土方の野郎あれで隠してるつもりなんですかねェ。全く、山崎ももう少し引っ張れっての。‥‥‥でも今日はまあ、いっか」
自分の唇をなぞる。
思い出すように目を閉じる。
続きは、また次のチャンスを狙うつもり。
目が鋭くきらめいた。
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