アブナイアイツ
「坂田、銀時、か」
隣にいた伊東がぽつりと声に出した。
「ああ?いまなんつった」
危ない男から銀時の名前が出たのを聞き逃さなかった。
「坂田だよ。えらく人目を惹く容姿をしているな」
「興味あんのか」
遠回しに聞いてみる。
「フッ興味があるのは土方、お前だろう。相手が見れば目を逸らし、見ていなければチラチラと動向を伺っている。お前のそんなところは初めて見た。−−−面白そうだな」
そういってニヤリといやらしく口の端で笑う。
−−−感づかれてた。
「伊東、ちょっとこっちにこい」
手を引っ張り、人のいないとへ連れて行く。
「おめぇ、あいつに構うんじゃねぇぞ」
「なにがだい?しかし君が近藤さん以外のことでそんなに気にすること自体に非常に興味がわくね。とりあえず僕も挨拶くらいはしておこうか」
意地の悪そうな笑みをはりつけてやがる。
そうだよ。コイツはそんなやつだ。
出会ったときから何かと絡んできやがる。
俺の興味の持つもの全てに負けじと食いついてくる。そんなやつだ。
だから銀時との関係を知られるわけにはいかない。危険だ。
「あいつは最初俺が担当してたから気になるだけだ」
「そうか。ならいいんだ。−−−じゃあ俺と坂田が仲良くしようと土方には関係のないことなんだな」
−−−コイツ、わざと言ってやがる!
「やめろ!!」
イライラして声を荒げてしまう。
「いいじゃないか、土方。お前の興味は俺の興味にもなるんだよ。ということは、君が好きなものは僕も手に入れたいと思ってしまうんだ」
さも楽しげに伊東がいう。
「ざけんじゃねぇ!」
たまったもんじゃない。あいつには近付けてなるものか。
「フッ。そんなに大事なのか?」
「うるせぇ。黙れ」
ギッと睨み付けてやる。
ん?いまどこみて笑いやがった‥‥‥‥‥って。はぁぁぁぁ?なんだこれ??いまどうゆう状況ォォォ?
伊東の、伊東の唇が俺のにくっついてやがるぅぅぅ!!
ドンッと。
一瞬ショックに飛びかけたが、気を取り直し伊東を押し退ける。
「てめェ、どういうつもりだ」
口を手の甲でゴシゴシと拭う。
「いや、僕のあとからあとから湧いてくる君への感情はなんなのか考えてみたんだよ。ただのライバル心からくるものなのか、それとも‥‥恋愛感情からくるものなのかをね」
「‥‥‥それで?」
「今ので理解できた。前者だ。恋愛感情とは程遠いものだとね。‥‥いや、君の持ってるものを全部奪ってしまいたいと思うのは、恋愛より厄介かもしれないな」
‥‥‥やっぱりあぶねー。コイツ。
「じゃあこれで僕は失礼するよ。面白いものもみれたしね」
そういって何事もなかったかのようにスタスタと戻っていった。
やっぱ伊東は銀時に近付けちゃいけない奴だ。
心からそう思った。
20090608
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