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扉が開いた瞬間、眩しい光りで思わず目を細める。
よくよく見ると、外は暗い夜のはずなのに、白い光、青い光、沢山の光が輝いて明るくなっている。
「‥‥‥なんだこりゃ」
「河上がいっぱい持ってきたのをみんなで飾ってみたッス!!あいつもたまにはいいことするッス。あ、今呼んでくるッスね!」
楽しそうな来島は、声をかける暇も無く走っていってしまった。
しばらく電飾を眺めていると、奇妙な格好をした万斉が姿を現した。
「綺麗でござろう?たまにはこんなのもいいかと思って」
「万斉‥‥‥て。お前の格好はなんの冗談だ」
現れた万斉は真っ赤なズボンに真っ赤な服。裾には白いフワフワがついてるその格好は‥‥。
「無論、サンタでござるよ。知らない?晋助」
「や、一応知ってるこたぁ知ってるが。何でお前がその格好してんだっつうの」
「クリスマスだからに決まっている」
‥‥‥ダメだ。会話にならねぇ。この話のことはもう放っておこう。
ご丁寧に帽子被って白い髭までつけて、サングラスまでしてるもんだから本人は満足げだが端から見たらただの怪しい輩だ。
「それはいいが万斉、大丈夫なのか。んな船照らしてたら怪しまれんぞ」
「それなら安心でござるよ。今宵は特別な夜。港にいる他の船もそれぞれにイルミネーションを施してある。何も心配するようなことはない」
言われてまわりの船を確認すると、確かにそれぞれ個性的に光を飾ってある。
しかしどう他と比べてもうちの艦が一番目立っていることには変わりはない。
まあ、目立つことは好きだし?どうせやんなら他の奴らに負けんのは嫌だし。こんくらいは誉めてもいいか。
「なかなか綺麗なもんだな」
「そうでござろう?晋助にそう言われると拙者も頑張った甲斐があるというもの」
嬉しそうにしている万斉。たかがこんな一言でんな喜ぶんじゃねぇよ。
「うー寒ィ、あとはお前らで適当にやってくれ。俺ァ部屋に帰るわ」
さっきまでは窓を開け放してても寒いなんて微塵も感じなかった。
なのに、あったかい光とお前の熱を感じた途端、感覚が戻ってきたかのように寒くなった。
来島と万斉を残し、サッサと部屋へと戻る。
パタパタと追い掛けてくる音が聞こえる。
あれは多分‥‥
「晋助」
部屋に入った途端に後ろから抱き込まれる。
そのまま冷えた耳の後ろを熱い舌で舐められれば、温度差でぞくりと肌が泡立ち、思わず声がでてしまう。
「あぁッ」
「晋助、感じた?」
そう言いながらも首筋や耳を舐めてくるので、答えるどころか変な声ばかりが出る始末。
「んやッ、あ、ば‥んさいッ!ぁあんッ」
「どうした晋助。やけに感じやすい」
「やッ、だってお前が‥」
長い間、俺を放っておくからいけねぇんだろ。
「拙者となかなかこう出来なかったから寂しかった?」
思ってはいても、先に口に出されると腹立たしい。
しかもからかうように言われると尚更。
キッと睨んだつもりだったが、快感に潤んだ瞳で言っても効果は無かったようで。
「かわいい」
などと言われてしまった。
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