5
そう言えば、優しく微笑む万斉。
そうして今度は軽く触れるだけのキス。
「そろそろ行こう、晋助」
俺に向かって伸ばされた手。
今度は素直にその手を取ると、指を絡めてしっかりと握りしめられた。
「晋助、拙者、晋助に対しては自制心が無いらしい。ここ数日で自分に独占欲というものがあると思い知った」
「万斉が‥‥独占欲?」
「晋助が拙者には冷たい態度なのに、坂田や土方らと楽しそうにしてるのを見ると、晋助を誰にも会えない場所に監禁しておきたい気分だった」
「はぁ?そりゃ嫌味言い合ってただけだろうが」
「いや。あやつらといる時の晋助はイキイキとしている」
「いや、だから違うって」
「そうは見えん」
あまりの強情っぷりにプッと笑い出す。
万斉のこんなとこなんて、初めて見た。
「何故笑う」
「や、俺、好かれてんのかなってな」
「かな、ではなく好きだと言ってるではないか。晋助はうたぐり深いでござるな。よし、明日から晋助が納得するまで毎日好きと言うでござる」
「や‥‥‥‥それは、ちょっと」
「何故そこで引く?拙者、晋助相手なら、百回でも千回でも、いや百万回でも愛を囁く自信はあるでござる」
‥‥‥何か方向性が間違ってる気がするのは俺だけか?
「万斉」
こちらを向いた万斉の首に繋いでない方の腕をかけ、その顔を手繰り寄せチュッと唇にキスする。
「言葉はいいから態度で示せよ」
「わかったでござる。百万回、いやそれ以上晋助とキスするでござるよ」
そうやって万斉からのキス。
それでもなんか違うと思うけど。
こんな万斉を見るのも悪くはない。
ああ、これで今日だけでもう四回目‥‥
この調子だと百万まであとどんくらいなんだろう、なんて本気で考えてる俺は、すっかり万斉の言うことにのせられている。
すっかりハマった恋の病に頭は乙女思考。
自分で自分が笑えてくるほど情けねぇ、俺。
しょうがねぇじゃんか、好きなんだから。
百万回でも何でもいい。
して。
お前の甘いキス。
20091002
→あとがき
[*前へ][次へ#]
[戻る]
無料HPエムペ!