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「は?」
「お前が好きなのは、いつも大人っぽい女じゃねぇか」
「‥‥‥それで?」
「だから、俺、ちょっとでもそんな風になろうかと思って」
「でも、晋助は女ではない」
「んなこたぁわかってんよ」
あー、もう顔上げらんね。
本気で涙出る寸前。
頭がキーンと痛い。
万斉は再度軽く溜息をついた。
こんなこと言って、余計うざいとか思われたんじゃね、俺。
ドツボだな。
「まあ、確かにそういったタイプの女と付き合ってはおったが‥‥‥楽でござるからな。ふむ。では晋助の思う『大人の女』とはどんなイメージでござるか?」
「わ、わがままとか言わなくて、余裕があって、好きにさせてくれて、うるさくなくて、金持ってる、みたいな?」
「金持ってるは余計でござるが‥‥‥まあ、そんな感じでござるな。では晋助は?変に作っていない晋助自身はどうでござるか?」
「俺?俺は‥‥わがままだし、お前相手に余裕なんて全然ねぇし‥独占欲強いから多分うるせぇし‥‥」
ダメダメ過ぎるだろ。
万斉が好きなタイプから掛け離れ過ぎだろ。
言ってるうちに情けなくなってきた。
「悪ィ。俺、やっぱお前に似合わねぇや。付き合うとか無しにしようぜ。忘れてくれ。んじゃ」
言えば言う程、万斉に似つかわしくない俺。
万斉はなんでこんなこと俺に言わせんだ?と思ったとき、わかった。
やっぱ、付き合うなんて無理だって言いたいんだろう。
ついに溢れた涙をそのままに、早口で捲し立て、逃げるようにその場から走り出す。
「晋助!!」
少し走ったところで万斉に腕を引っ張られ、胸に抱き込まれる。
万斉のいつもつけている香りがすぐ近くに。
そう思ったら、唇が塞がれた。
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