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そうして俺は、万斉に気の迷いだったと思われないように、万斉の理想に少しでも近づくべく努力してるってぇ訳だ。


「‥‥‥主、最近様子が変ではないか」


隣を歩いていた万斉の歩みが止まったかと思うと、そんなことを言い出した。


「‥‥‥そうか?普通だろ」

「いや。何か拙者に対してよそよそしいし、冷たい」


なッッ
よそよそしい?冷たいだって?
え?なんでだよっ
俺ぁ、大人っぽくしようとしてるだけなのに、なんでそっちにいっちまってんだ。


「ん、んなこたぁねぇよ」


引き攣った笑みを返しながら、声が裏返ってしまったのがわかる。

情けねぇな、俺。
もっとさらっとマシな言葉はでてこねぇのかよ。

自分で自分を叱咤してしまう。

そんな俺を見て万斉はハァと溜息をついた。

なに。
やっぱ俺と付き合わなきゃよかったとか言われんのかこれ。
やべ、なんか涙出そう。


「晋助、やはり拙者と付き合うのはやめておけばよかったとか思ってるのでは?」

「そそそ、そんなことねぇよ!」


んなことあるわけねぇだろ。
むしろ大喜び過ぎて夢じゃねえかって不安になったくらいなのに。


「本当に?」


のぞき込んでくる万斉にコクコクと必死で頷く。


「では何故、拙者にだけ冷たい?他の者には今まで通りなのに、拙者にだけ。これでは拙者、やはり嫌で距離を置こうとしているのかと思っても仕方ないであろう?」

「それは違ぇよ!!」


んな風に思われてだなんて完全に違う方向にいってんじょねぇか。
こんなに好きなのに、裏目に出てしまっていたことに焦る。


「では、何故」

「そ、それは‥」


口に出すのはさすがに恥ずかしい。
頭に熱が溜まるのが感じられるが、地面を見つめながらも誤解を解かなくてはと思う。


「それは?」

「万斉が‥‥‥大人の女が好みだから」


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