5 銀時の企み
万斉からの着信。
あれ?あいつテレビ出てんじゃねぇのか?
テレビに視線を移すが、誰やらかが歌っていてまわりの様子は伺えない。
「早くでろよ、チャッチャカチャッチャカうるせぇだろォ?」
銀時に促され、通話ボタンを押す。
「晋助、何故すぐ電話に出ない」
「はぁ?何だよ、いきなり」
「それより主は今何処にいるのだ」
「え。何処って‥‥」
また一人でぶらぶら出て来たなんて言ったら、何か言われそうだなと思い言い澱んでいると、後ろからのびてきた手に、またしてもスルリと携帯を奪われた。
「ちゃーんとメールしたでしょー。そんなことわざわざ聞かなくてもいいんじゃない?そういうことだから。じゃあね」
勝手に会話して勝手に電話を銀時が切ってしまった。
「おっまえ、なんつーことすんだよ!ていうか、どんなメール送ったんだよ。なんか万斉、様子がおかしかったぞ」
せっかく万斉から電話がかかってきたのに!
なんか、無性に腹が立ち銀時の襟首を掴み上げる。
「ちょ、アンタ人の家に上がっといて何してんだよ!」
「うるせー!眼鏡は黙っとけや」
「何?お前、そんなにあいつんこと気になんの。へぇー、あの晋助がねぇ〜」
カッカしてる俺とは違い、わざとらしく大袈裟に驚いてる銀時を見ていると気が削がれて、手を離す。
「帰る」
「まあまあ。もうちょっと待っとけっつっただろ」
手を強く引かれて、勢いで銀時の横にボスンッと腰を下ろす。
「なんだよ。俺ァ、いい加減帰んねーといけねぇんだよ」
それは本当。
来島が遅くとも九時までには帰ってきてくれと言っていた。
「もう少しくれぇ、いいだろ?果報は座って待てっていうだろ?」
「銀さん、それを言うなら果報は寝て待てですよ。微妙に間違ってますから」
「あれ?そうだっけ。まあなんでもいいや。新八ぃ、ちょっと濃ーいお茶入れてくれよ。スッキリするやつ」
「なんでもいいって‥‥ハァ。わかりましたよ、すぐ用意しますから待ってて下さい」
「と、いうことでだ。茶飲んで帰るぐらいは、いいだろ」
「まあ」
何だかよくわからなかったが、結局は茶を飲んで帰ることにする。
上手く丸め込まれたような気もするのだが。
茶を待ってる間にも銀時に、そういえば前に休憩させてやった礼を貰ってないだのいわれたり、ヅラの話を聞かされたり。グダグダの話がどこまで続くんだと思ったころ、茶が運ばれてきた。
「これ飲んだら今度こそ帰るからな」
「ん?いいよ。そろそろだと思うし」
「?何がだ」
「さあね」
銀時の目は、楽しそうに光っていた。
コイツがこんな顔をしてる時は、昔っから何かを企んでいる時だ。
嫌な感じがして、早く帰るべくまだ熱いお茶を口に入れた時。
ガラガラガラ
玄関で音がしたと思いきや。
ドカドカドカ、バァァァーン!!!
「白夜叉あぁぁ!!!晋助はどこでござるかぁ!!!!」
−−−−−今日はもう会えないはずの万斉が、いた。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
無料HPエムペ!