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2 暇つぶしに向かうのは

風呂にゆっくり浸かり、すっきりとしたら何だかジッとしてられなくなり、街をぶらつくことにした。


「遅くとも九時までには帰ってきて下さいね!みんなでパーティーするッスから!!」


なんの準備をしてるんだかわかりきっているが、いつもは危ないからと止めにかかる来島までもが、好都合とばかりにいってらっしゃいと手を振っている。

−−−全く、祭好きな奴らが集まったもんだな。

船を後にし街まで出て来たものの、特に目的があってきた訳ではないので行き先を思案することとなる。
買い物はこの前万斉と散々したし、今日は手持ちもないのでそんなつもりもない。

ああ、そういえば祭好きの奴が他にもいたな。

思い当たった顔に、暇つぶしにでも行ってみるかと足を向けることにした。










ピンポーン


「はーい、どちら様‥‥‥‥って、えぇぇぇぇ!!!」

「どっかで見た顔だなぁ」

「どっかでみたじゃありませんよ!!!アンタなに普通にここに来てんだよ!びっくりするだろ普通っ!」

「どうしたあ、新八ィ。何騒いでんだぁ?」

「銀さん、だってこの人!」


眼鏡の小僧に思いっ切り指を指される。

誰だ、こいつァ。‥‥‥あぁ、確か紅桜の時にヅラと一緒にいたっけかなァ。銀時のとこにいんのか?


「何、お前また来たの?」

「どうせ暇なんだろーが。ちょっと相手しろよ」

「ちょっとォォ!銀さん、話が見えないんですけど!また、って!前にも来たんですか?」

「ああ、ちょっとな。具合悪いコイツをヅラが連れて来たんだわ。いっとくけど不可抗力だからね?銀さん自ら招き入れた訳じゃないから。そこんとこ重要だからわかっといてくれる?」

「そ、そうなんですか。よかったですよ神楽ちゃんが姉さんとこにお泊りの日で。いたらきっと僕よりもっと暴れてますよ」


落ち着きを取り戻してきた眼鏡小僧に思わず嫌味をいいたくなる。


「んだあ。俺もえらい嫌われてるもんだなあ、銀時よ」

「たりめーだろうがよ。あれだけ騒いでおいてよ。っつー訳で、今日はお前を入れようなんて気ィねーから。さっさと帰れ帰れ」


虫でも追い払うかのようにしっしと手を振る銀時。
その横で眼鏡が睨みつけてきやがる。


「お前ぇもつれねぇなぁ、銀時。馴染みの誕生日くらい祝ってやろうって気にはなんねーのかよ。ま、いい。お前がダメならヅラんとこでも行って一杯やってくっかな」


わざとらしく言い捨て踵を返すと、肩にガシリと力の入った手が乗っかった。


「高杉。悪ィ、忘れてたよ。今日お前の誕生日だったな。何にも用意してねぇけど一杯付き合うくらいは出来るぜ。よかったら上がってけよ」

「銀さん?!」


振り向けば、裸足のまんま飛び出てきた銀時が、引き攣り笑いをしながらそう言った。


「そうか。じゃあ、ちょっくら邪魔すっかな」


お前は、止めるだろうと思ったさ。
自分の大事な奴が昔の男と二人で飲むなんて堪えらんねぇだろうからな。
ヅラはきっと拒否ることはねぇだろうし、あの酒の弱さじゃ何されっかわかったもんじゃねぇしな。
ここは俺の作戦勝ちってぇ訳だ。

暇つぶしの場所を確保出来たことと、銀時の焦りようが面白く、思わずニヤリと笑みがでる。


「銀さん、大丈夫すかこの人!今、マジ悪役な笑い方したの見たんだけど!!」

「あーもー、気にするなァ新八。そいつそれが普通だから。悪役だからね、そいつ」

「ギャーギャーうるせぇなぁ、小僧。ほら、これで酒とお前の飲みたいもん買ってこいや」


小袋の中から金を渡す。


「あ、ありがとうございます‥‥‥って、ただの使いパシリだろうがぁ!」

「なんなら、おやつも買っていいぞ」

「新八ィ−、あといちご牛乳もでっかいの買ってきてな」

「わかりましたよ!!行けばいいんでしょ!行けば!」


そういって、玄関のドアがバンと力強く閉まったのが聞こえた。


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