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高誕2010
Menu 2 黒い太陽、白い月‡万高Side

【黒い太陽、白い月】


「晋助、コレ」

「何」


差し出された袋から中身を取り出すと欲しかったシルバーのブレスレットが入ってた。


「え?なに万斉コレ」

「主、今日誕生日であろう?この間欲しがってたからプレゼント」

「マジで?ていうかよく知ってたな」

「まあ、当たり前‥‥と言いたいところでござるがたまたま耳に入ったでござるよ」

「んなことだろうと思ったぜ。でもまあ、くれるっていううんだから貰っといてやるよ」

「ああ。そうしてくれ。きっと晋介に似合うと思う」


優しい顔なんかするからついその先を求めてしまいそうになる。


「なあ万斉。今日‥」

「あ」


人影を見つけて傍からいなくなる。
ああ、そうか。
万斉は忙しい。
今はスラリとした髪の長い女に夢中。
俺に向けられていた優しい瞳は、甘さを足して違う奴を映している。
親密な様子で話をしている二人につい睨むような視線を送っている自分に気づく。
違う。
これは話の途中で俺を置いて行った万斉にムカついてっからだ。
そう自分に言い訳をする。


「悪い晋助。なんでござった」


視線に気づいたのか、話を終えたのか万斉がこちらに戻ってきた。


「もう忘れちまったってえの。‥‥‥今日はデートか」

「ああ、何やら親がいないとかなんとか」


んだよソレ。
デートとかかわいいもん通り越してんじゃねえか。ただのヤリマンじゃねーのかよその女。
‥‥‥て俺も変わんねぇか。


「そーかよ。ま、お前も俺ばっかり相手しててもつまんねーしな。俺も今日用事あるし。じゃな」

「晋助、」


呼び止める声を吹っ切って走った。
よかった。
今日一緒にいたいなんて言わなくて。
俺らどうせヤッてるだけだしな、うん。
このまま家‥‥帰りたくねぇな。








「久しぶり」

「ああ」

「どうしたの急に」

「いいから、早く抱けよ」

「‥‥‥まあいいけど」



全てを忘れて快楽を。
なのになんだか心が重い。
万斉は、今頃女とイチャついてるんだろうか。



「なあ‥‥今日、俺、誕生日なんだ。思いっきり優しくしてくんない?」

「それ何の冗談?それとももしかして本気で言ってんの」

「冗談に決まってんだろ。‥‥‥ブッ飛ぶくらいにしてくれんだろ」

「俺が本気だしたら動けなくなるよ」

「上等だ」



激しい律動。
壊れそうに軋む身体。

何にも考えたくない。
考えたくない、のに。



万斉とあの女の抱き合う姿が脳裏にちらついて離れてくれない。

丁寧な愛撫。
優しい言葉。

それらをあの女に与えているのだろうか。




自分とは   正   反   対   。




当たり前だ。
自分たちはただ欲を晴らすためだけに抱き合ってるだけなのだから。
なのに何故か胸の奥が痛くて、涙が出た。





その涙の意味を考えるほど俺は大人じゃなかった。


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あきゅろす。
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