黒い太陽、白い月
2
「あー、晋ちゃん?ここがどうゆうとこかわかって来てる?お前まだ中一でしょ」
「晋ちゃん言うな!子供扱いすんなよ!わかってっよっ。族だろ?つーか、銀兄何でこんなとこにいんだよ?お家でお勉強してなくっていいのかよ?」
「人間ね、一生懸命取り繕ってると発散の場が必要なんだよ。‥‥‥秘密だぞ」
俺は真面目だと思ってた銀兄の裏の顔を見てちょっと調子にのってしまった。
「そりゃあ秘密だよなあ、銀兄が族の総長なんて知った日にゃ、松陽先生卒倒‥かはッ」
テーブルを乗り越えて来た銀兄に胸倉を掴まれ壁に押し付けられる。
銀兄の顔は今までに見たことのない、冷たい顔をしていて。
背筋に冷たい汗が伝った。
「いいか、晋助。松陽先生にはこのこと絶対言うんじゃねぇぞ」
自分の知らない銀兄に触れ、ひどく遠くの存在のように感じた。
だから、何かで近くに繋ぎ止めて置きたかった。
「それって俺に何か利益はあんのかよ」
「俺に駆け引き持ち出してくるなんざぁ‥‥いつの間にそんなズルイ大人に近付いちゃったんかねぇ。あんなにかわいかったのに‥」
大袈裟に残念とでもいうようなジェスチャーをし、パッと手を離し、煙草に火をつける。
その姿が酷く格好よく、しかし口調は普段通りに戻っていた。
「うっせぇ。もうガキじゃねぇつってんだろ」
「おーおー。何?晋ちゃん反抗期?それでぇ何か俺にして欲しいことあんの?」
「教えてくれよ‥‥」
「んー?何を?喧嘩の仕方?それともお勉強?」
小馬鹿にしたようなからかい口調。
クソッタレ!
「セックスの仕方」
開いた口から煙草がポロリと落ちた。
ザマーミロ。
びっくりしたか。
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