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黒い太陽、白い月
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隣の家住んでる松陽先生は塾の先生で。
おまけに近くの道場では剣道を教えている、それはそれは立派でとても優しい先生。
俺は、体が強くなるからと小さい時からそこに通わされていた。

そしてその家に住んでる人がもう一人。
松陽先生の遠縁にあたるだかなんとかで一緒に暮らしている俺より五つ年上の銀髪で紅い瞳の男の子。

これまた先生の教えがいいのか、頭が良くて剣道もすごく強くて、おまけに優しい。


俺が通ってる剣道場では一番の人気者。
いっつも皆がくっつくから近付けない。
皆に混ざりたくない俺は、いつもちらりと横目で様子をみてた。

お隣り同士だからいつも一緒に帰る。帰り道に「みんなに内緒だぞ」と言って時々くれる飴玉は、俺を幸せにしてくれた。

そんな大好きな銀兄と兄弟のように育って、知らないことはないと思ってた。

共働きで忙しいばかりの親達より、隣の家に入り浸ることが多かった俺。

成長した今では道場通いもやめ、親の不仲で性格も曲がり悪い奴らとつるむばかり。
それでも滅多に顔を合わせないが、お隣りさんのことはよく知ってる。



そう思ってた、のに。





あ?


そこにいるのは銀兄?



「総長、この間入った新入りです。ほら、何突っ立ってんだ。挨拶しねぇか」

「んだよ、俺に命令すんじゃねぇよ」

「随分と元気みたいだねぇー‥‥‥‥って。晋助えぇッッ??」


自慢の人で‥‥‥
頭良くって‥‥‥
ひねくれた俺と違って、すごく真面目を絵に描いたような‥‥‥
‥‥‥‥‥あれ?


「まさかと思ったけど‥‥‥本当に銀兄かよ?本物?」


肩より長めの銀髪をサイドを固めて後ろに流し、すっきりさせてはあるものの、やっぱり銀兄で。
その人が、がっくりと肩を落としハァーと溜息をついた。


「総長、お知り合いですか?」

「あ、ああ、まあな。‥‥‥ちょっとコイツと話ししたいからあっちいっててくれ」


そう告げると、顔に傷のある年上風な男は、部屋の外へと出て行った。

残るは、ソファーに座ってる銀兄と俺。


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