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黒い太陽、白い月




救急車が到着し、病院へと運ばれた。

先生の側についていたかったのに、俺の左目の傷も結構酷かったらしく、別の場所へと移され、麻酔やら縫合やらなんやらで病院内にいながらも傍にいることは出来なかった。
はっきりと意識が戻った頃。

様子を見に来た看護師に先生のことを尋ねると‥‥‥先生が亡くなったことを教えられた。
銀兄は連絡がとれたのが遅く、最期には間に合わなかったらしい。


部屋を抜け出し、銀兄を捜した。広い病院の中、誰もいない真っ暗なロビーでようやく銀髪の頭を見つけた。
いつものような覇気はなく、まるで闇に溶けてしまいそうな儚さだった。


「銀兄‥‥‥」


小さく声をかけるとやっと顔を上げて見てくれる。


「晋助。‥‥‥ああ、お前も怪我したんだったか。あー、なんかこうちょっと混乱しててな」


だろうな。
俺と先生じゃ重みが違う。傷の重みも銀兄の中での存在の重みも。


「すいませんでした」


深々と頭を下げる。


「何が」

「仕掛けてきた奴ら、俺を狙ってきてたみたいだし、先生は俺庇って‥‥し、死んだんだ。俺が弱かったばっかりに」


悔しくて自分自身に腹が立つ。後悔ばかりだ。
先生を護れなかった自分。話を辿れば道場なんていかなきゃ良かったとまで後悔する。


「晋助のせいじゃないって」

「でも俺と一緒にいたから」

「お前のせいじゃねぇっつってんだろ!」

「ぎ、んに‥‥」


静かなホールに響き渡った銀兄の声にビクリと身が竦む。


「あれは‥‥まあ、前にぶつかったチームの奴らだ。ご丁寧にわざわざ連絡よこしてきやがったからな。お前を狙ったのも俺と最近ずっといるからだろ。むしろとばっちりをくったのはお前の方だよ、晋助。だから、自分を責めるんじゃねぇよ」

「でもさ」


言い出す俺の唇に銀兄の人差し指が当たる。


「もういいから‥‥ここにおいで晋助」


手を引かれ銀兄の片方の脚へと座らされる。


「お前が‥‥‥晋助が生きてて良かったよ」


そういって悲しげに言い、目を細めた。


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