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黒い太陽、白い月




「先生‥‥あの「お前が高杉晋助かあ!!!」


突然。
暗闇から三つの影が飛び出して来た。


「誰だ、てめぇら!」


柄の悪そうな奴らに松陽先生を庇いながら威嚇する。‥‥‥が、悔しいことに体の小さい俺が言ってもあまり効果はないようだった。


「お前をやれば白夜叉への宣戦布告になるって聞いてなぁ、こうやって狙ってたってわけさ。今日は取り巻きもいねぇみたいだし。随分と可愛がられてるって話しだしなあ」


なんてこった。
よりによって松陽先生といるときになんて。
どうせ頭の悪い奴らの考えることだ。銀兄達には敵わないもんだから俺を狙ったってか。そういえばチームの誰かが女の話しでどっかの族の奴と揉めて、逆恨みしてるらしいから一応気をつけろとかなんとか皆に言ってた気がするな。まあ、こんな雑魚共なんてことねぇけど。

かかってくる奴らをかわし、素手で拳を入れていく。正直、たいしたことの無い奴らだって高を括っていた。
それが、俺の若さと甘さだった。相手が追い詰められて刃物を出して来るなんて考えてもいなかった。


「くそっ、小さい癖にちょこまかと!!死ねぇ!!!」


まさか。
中坊相手に殺す気で本気でかかって来るなんてことも考えず、ましてや松陽先生が自分を庇うなんてことはちっとも考えていない子供だった。


「晋助、危ない!!」


俺の前に立ち塞がった松陽先生の胸に、凶器の刃が突き刺さった。


「先生!!!おっ前!!なんてことしやがんだ!!」


焦った俺に更に刃が振りかざされる。
咄嗟のことに避けきれず、左目に痛みが走る。
構わず、相手の腹部を殴り、蹴り飛ばした。

先生は?!

自分の痛みなんてどうでもいい。先生が‥‥先生が。
胸部から血を流し、倒れてる先生を抱きかかえる。


「先生、先生!!しっかりして下さい!銀兄のために、死なないでくれよっ!!」


みるみるうちに血の気の失せる顔。
流れ出る血。
止めようと傷口に手を当てるが自分の手が真っ赤に染まるだけ。
銀兄がどれだけ先生を大事にしてるか。
頼む。
死なないでくれ。
俺なんてどうでもいいからこの人を助けて。


「だれか!早くっ!早く救急車っ!!」


俺はただ、松陽先生を腕に抱えて泣きわめくことしか出来なかった。



ただ、絶望を抱えることしか‥‥‥。


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