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黒い太陽、白い月



何事もなく土曜日になった。
あれから銀兄から連絡があったことと言えば


『土曜日の集会、お前出なくていいから』


それだけ。
まあ、本来なら集会に出なければややこしいことになるが、頭が出るなというのだから出なくても何ともならないだろう。

約束の時間までを適当に過ごし、道場に向かった。久しぶりに着替え、竹刀を握ると背筋が自然と伸びる。


「久しぶりですね、晋助」

「お願いします」


久しぶりに竹刀を握ったせいか最初は上手く振るえず打ち込み稽古の延長みたいだったが、そのうちに勘が戻り先生と打ち合えるほどになった。
そうなってくると夢中になり、時間も忘れて動いていた。


「晋助、もうこの辺でやめましょう。もう遅いですし」


そう言われて道場内にある時計を見ると、もう十時をとっくにまわっていた。
面や武具を取ると蒸れた空気が解放され、随分と汗をかいていたことに気付く。

確かに‥‥‥健康的な汗だよなあ、銀兄。

今頃バイクで走っている銀時を思うと今更ながら気になってくる。あの人のバイクには誰か一緒に乗っているんだろうか。
俺がいないのをいいことに‥‥‥
噛み締めた歯がギリッと鳴った。


「着替えて一緒に帰りましょうか、晋助」

「あ‥‥‥はい」


汗をタオルで拭き取り着替えて、松陽先生と家までの道を歩く。
昔、銀兄とはよく歩いた道。
先生と歩いたのは初めて。


「晋助‥‥銀時は私の前では真面目にしていますが、それに疲れているのもわかっています。どうか、本当の彼を大事にしてあげて下さいね。私には‥‥‥悲しいことに全ての顔を見せてくれてるってわけじゃあないですからね。晋助になら、銀時は全てをさらけ出していてそうですから」

「先生‥‥‥知って‥‥」

「まあ、血は繋がっていなくてもこれでも一応『親』のつもりですからね」


やっぱり先生はすごい。
銀兄は先生の前ではそんなそぶりちっとも出してなどいないのに。
大事にされてるじゃん、銀兄。


「俺だって銀兄のことそんな知ってるわけではないです」

「そうかい?でも銀時は晋助のことを昔から大事にしているよ。私にはなかなか踏み込めないところは晋助にまかせますよ」


そういって少し寂しげに笑う姿はどことなく銀兄に似ている気がした。


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あきゅろす。
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