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黒い太陽、白い月




目が覚めると、俺の体はすっかり綺麗にされてて。
銀兄はジーンズに白いシャツを形だけ羽織って、窓際で煙草を吸いながら空を見上げていた。
そうしている姿が、子供の自分にはいちいち格好良く見え、悔しくなる。
全然、遠い存在のようで。
どこかに消えてしまいそうな銀兄を捕まえたくて、声を掛ける。


「ココでは煙草、吸わないんじゃなかったのかよ」


そう。
ここは銀兄の部屋。
つまりは松陽先生の家でもある。
先生の前では真面目を装っている銀兄はこの家では煙草を吸わない‥‥はず。


「まあな、たまには吸いたくなることもあんだよ。‥‥‥一本だけな」

「俺にもくれよ」

「ダメ。これ以上吸ったら部屋に匂いが付いちまう」

「ケチ」

「なんとでも」


言われてまた布団に潜り込もうとしたが、とめられた。


「なに」

「もう時間だ。そろそろ家に帰れ」


時間ってことは松陽先生が帰って来るってことだ。まだ陽が高いのに。


「こんな明るいうちから?」

「今日は会合やらなんやらで早いんだとよ。何、疑ってんの」

「‥‥‥別に」


何か俺、変だ。
やられてる側だからって頭まで女みたいになってきたのか。
眉間に皺を寄せて考えてると、頭をポンと軽く叩かれる。


「晋助が嫌で言ってんじゃないよ。ただ、かわいいヤキモチでも妬いてくれたのかなあって思っただけ」

「はあ?やややヤキモチとか!んなんじゃねぇしっするかよっ」

「そっかあ、残念だな。んじゃま、さっさと着替えろよー」


そうは言ったものの、指摘されたのが恥ずかしく急いで服を着て部屋を出る。


「じゃあ俺、帰るから!」」


目を合わせるのも恥ずかしく部屋を出際にそう告げるた。


「おー、じゃあな」


怠そうな声を背にドアを閉め、階段を降りる。松陽先生の家は一階が広めの和室や台所やらがあって、個々の部屋は二階に一部屋ずつ。
そのうちの銀兄の部屋から出て、階段を降りきった時、ちょうど玄関の鍵がガチャリと回り、カラカラと扉が開いた。


「おや珍しい。晋助じゃないですか」


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あきゅろす。
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