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黒い太陽、白い月
4


くわえ煙草でそう言った銀兄はなんだか余裕の態度。
逆に俺は言葉に詰まる。


「えっ、説明って」

「んー?何を教えて欲しいか具体的に言ってよ。例えば何?」


ニタリと意地悪な笑みを浮かべ、俺を引き寄せソファに座らせる。
近い距離で見つめられ、心臓がバクバクしてくる。


「た、」

「た?」


そんなに覗き込むまないで欲しい。
声が喉に引っ掛かって上手く出てこない。


「たとえば‥キス‥‥とか」


火照る顔でそう絞り出すと、紅い瞳が近付いてき、ふに、と柔らかいのが唇に触れすぐに離れていった。


「こんなんでいいの?それとも、もっと深いやつ?」

「‥‥もっと‥‥‥‥」


小さくそう言うと、両の頬を手で軽く挟まれ唇が再び降りてきた。
唇の合わせ目を舌先でそっとなぞられ、薄く開くと、煙草の苦みと一緒にヌルリとしたものが侵入してくる。
上顎や歯列をなぞり、優しく舌を吸われると、甘い痺れに体中を侵されたようだった。


「んんっ‥‥ふっ‥はっ」

「‥‥‥どうした?力、抜けてるよ」


唇が離れても、銀兄の服を握り締め力が入らない俺を支えながらクスリと笑う。


「いきなりじゃ、刺激強すぎた?」


自分の肩口に俺の頭を乗せ、ぽふぽふと頭を撫でられる。


「‥‥んなことねぇ、息継ぎがわかんねぇだけだ。‥‥‥もっとしろよ」


初めての濃いキスに本当は力が入らなかったけど。
体が熱くて震えがきてたけど、ネを上げたと思われるのが嫌でそう言った。


「ハハハッ、おっまえかわいいね。いつの間にか成長したねぇ。もう子供じゃないか。ね、晋。‥‥キスしたの初めて?」

「‥‥別に」

「初めてなんだ」

「はあ?誰もんなこたぁ言ってねぇ」


顔を上げてすぐ隣にある顔を覗き込む。
と、ニコリと銀兄が昔のように笑った。


「いいぜ、条件飲んでやっても」

「あ?」

「お前に、いろいろ教えてやろうじゃないの。お前の、初めていっぱい貰っちゃうよ。た・だ・し・お前が相手すんのは俺限定。わかったか?」


嬉しさにコクリと頷いた。
銀兄のことを全部知りたい。
それに『俺限定』といわれたことで飴玉を貰った時のように、ワクワクとした気持ちがあふれていた。
俺はまた銀兄の『特別』になれたのか?


「だから、松陽先生には秘密な」


こうして俺と銀兄の約束は結ばれた。






この時はまだ、あんなことが起こるなんざぁ、指の先程も思っちゃいなかった。





あんな‥‥‥‥。


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