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犬と猿
6
すでに居ないもんだと思ったよ‥いやマジで。

だから、まだ俺の少し後ろに居た猿倉にビックリ

お前まだ居たの?
そう口を開こうとしたけど、なんか様子が変な事に気が付いた


微動だにしないその姿勢
仁王立ちしている猿倉のその視線は一点集中


「猿くー‥」


声を掛けようとした時

『キャンッ!』

ワンちゃんが可愛い声で吠えた‥‥と同時に



「ッ!!!」



ズサササッ‥
物凄い勢いで猿倉が後ろに飛びのく


「は?なにお前‥?」

「‥‥‥ッ、ツ」



え‥‥?
これってまさか、まさかの?


歩道に植えられている花壇にまで足を突っ込む慌てっぷり

若干、顔色が悪いし
引き攣ってもいる表情
なんか小刻みに震えてるようにも見えて

飼い主さんがまた散歩を再開し、俺は背中を見送った時にはもう限界で‥



「ぶ、ブハハハッ!お、おまッ‥‥ひッ、ひィっ、ひっ!
あんなちっこい犬に、クハハッ!
ヤバいってお前まさかの犬ダメって!俺を笑い死にさせる気かよアハハハ!」


大爆笑!!


「チッ!!くそっ笑うなバカ犬ッ!」


バツが悪そうに、でも怒っている顔で俺にまたバカって言いやがった
いつもはムカつく奴の言葉も、今はなんだか気分がイイ!
腹も立たないし!

だって、だって!
女の子にキャーキャー言われてる奴が‥‥


「い、犬がダメってぷはははッ!!
腹よじれるしーしっしっ!」



やべぇッ!
すっげぇー弱点見つけちゃったよオイッ!


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