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犬と猿
4
上を見上げた猿倉と視線がカチ合う
視線を逸らす訳でなく、ジーッと見られて帰ろうとしていた体が固まった
そして



「ーーーッ!!!」



笑った?
笑いかけた?
お、俺に!?

ドクンッ‥

と、不意に心臓が跳ねる


(え‥?ぇえ!?)



『キャァアアアアッ!!』


と、鼓膜がビリビリ震える黄色い悲鳴が隣から発っせられたのはその時だった



『ししくらくんッ!』


女の子達が猿に一生懸命手を振っている

あ、そっか‥‥
焦った
めちゃくちゃ焦ったぞマジで!

女の子に笑いかけてたのに、なに俺‥‥勘違いしてるんだって!
つーか、何だこのモヤモヤした感じ‥‥


(あいつ、笑った‥‥)


気恥ずかしいっとゆーか
嬉しいとゆーか‥‥

嬉しい‥‥


「う、嬉しいってナンデヤネンッ!
あーーッくそっ!!」



自意識過剰‥
一人焦ったこの、いたたまれなさに
まだドクドクうるさい心臓を右手で押さえて、俺はダッシュで体育館を後にした



結局は何にも見つからなかった


「もっとこガツンってクる弱点って無いもんかね」


俺に土下座して許しを請うぐらいの何か‥
好きな奴とか分かれば、それネタに脅せれるのによ


教室に戻って、あーでもないこーでもないと頭悩ませていれば
ガラッとトビラが開く
自然と顔がそちらを向き、俺は


「げッ」
「あ‥」



奴と同時に口を開いていた


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