犬と猿
3
「シシクラの好きな人?うーーん、聞いた事ないけど?」
「そっか‥じゃあさ好みのタイプとか?」
「好み?そうだな可愛い子じゃない?」
やっぱりか!!
羽鳥にベタベタする時点でそうだと思ったけど
期待を裏切らねぇなオイッ!
「今だったら部活前だし、会って聞いてみるといいよ」
「部活?」
なんと奴はバスケ部員だったらしい
体育館にキュッキュッと靴底のゴムが擦れる音が響く
活気のある掛け声が飛び交い
バスケットボールがリズミカルに弾み、リング目掛け放たれる
(デッケェ奴ばっか)
体育館の窓際はロフト部分的な場所で、ある意味、下を見下ろすかっこうの場所
羽鳥にああ言われたけど、直に聞ける訳ないからその二階部分で高見の見物を決め込んだのは、ついさっき
ガタイがいいってだけでモテるのか?
俺と同じ様にこの場所から体育館を見てる女の子が、キャーキャーと甲高い声を上げている
その歓声を浴びている主は‥‥
「エロ猿めッ!」
アイツがバンバン、シュートを決めるたび一段と黄色い声が増えている
まぁ、でも‥‥
普段の見ない真剣な顔付きでボールを打ち込む奴を見てると、ちょっとだけど
(カッケェー‥‥かも)
「‥‥‥‥ッて!!
なに考えてんだよ俺!!」
普段思ってもみたい事を柄にもなく考えて、むず痒くなった頭をガシガシとかく
特にこれと言って収穫は無いし、さっさと帰ろう!
と、そう思った時
「えっ?」
目が合った
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