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[PC視点]アカマガツイベント纏め1 始まり〜逮捕
嘘と赤き呪縛のロンド、纏め




☆事の発端

とある村に悪いエルフの魔術師が居た。お菓子屋さんを営む傍ら、快楽殺人者として裏では猟奇殺人を行うエルフの男だった。
その男、ザナーク=プロスメギテルスの主に扱う魔術は"視認"する事で頭の中に術式を記憶として埋め込み、感情をトリガーとした精神操作術式。衝撃的な光景、想いを組み込まれた魔術式の起動源として人殺しを連鎖的に誘発させる、闇の術師だった。知り合いを殺された人が、また他人を殺す、そしてそれを目撃した者が……と連鎖を引き起こす術式であった為に捜査は難航、その根源を掴むに至らなかった。(ついでに、元は人を味で喜ばせ、その感情をトリガーとして暖かくなるだとか元気になるだとかの術式が発動するお菓子を作っていたが、そこに死の術式を組み込んだ事から悪堕ちしたんだとか。)
ザナークには息子が居た。名前はゼルサリス=プロスメギテルス。その息子も幼いながら古典術式を良く学び知っており、不本意ながらも父の殺人を眺めていた。そんな時に、父は新しい計画が思い付く。
今までのものは、効果が途切れる事のある一時的なものだった。その為、他の死体目撃者が一定期間居なかったり、また目撃したとしても効かない場合や、思い留まる場合も多くあった。しかし、それを改善する案を思い付いたのだった。
それは、莫大な量の術式を視認させ、たった一人を無意識の内に大量殺人犯に仕立て上げる精神操作術式。標的は、常連。"視認"する事で記憶される術式を細かく分解、お菓子を買いに来た常連に膨大で大掛かりな魔術式を蓄積させ、その上で身近な者の死、つまり最も衝撃的で感情が壊れる瞬間に振り切れた精神を媒体として起動されるもの。
そこで標的となったのが、ファルベリア=シュヴァロットとその母親。呑気にも毎日買いに来るその少女へと絵柄に隠した魔術式の組み込まれたお菓子を渡し、その日を眈々と待ち続けていた。
その時同じく"視認"した事で組み込まれていた被害者がもう一人居た。それが息子、ゼルサリス。共にお菓子作りをしていた為、またまた不本意にも記憶に刻み付けられ術式が構築されていく。

そんな事も知らぬファルベリアは楽しそうに赤い花畑に囲まれた家でお菓子を食べる。ファルの母親は犬獣人特有の白内障にて目が見えなくなってきており、誤魔化すもそこに子供ながらに気付いていたファルは「こんな絵柄が描いてあるよー!」と元気に話し掛けていたりで余計に記憶に刻み付けられてしまう。
すくすくと成長するのと比例して目の見えなくなる母、偶然にもその運命の日はエイプリルフールだった。この頃には完全に目は見えず、そして見えないが故に雨上がりの日は太陽が出ていなくとも「綺麗な虹だね」泥だらけで帰ってきても「ファルは綺麗な白い毛並みだね」そして新しく買ってきた服を見ても「とっても似合っているよ」と。そして決定的な、術式が身を蝕んでる明確な色となる尾の異変、赤色になっていく自らの尾の症状を訴えても「ファルの毛は真っ白だよ、真っ赤になるわけなんてないんだから」と。見えないが為に何度も嘘を付く母にもう嘘を付くのは止めて欲しいと願っても、その優しさの為に言えずに居た。
エイプリルフールである今日の嘘を最後にさせようと決め込んだファルは、赤い花畑を踏み越えて森の奥へ、どうにか湖へ手を伸ばして真っ白い、純白な蓮の花を取ってきた。この嘘を最後にして欲しい、と。綺麗な赤色の花だね、と言われるのは分かっていたから。何度も何度も言われていたから。
帰ってきて目に入ったのは、黒い紅色。部屋が赤で染まり切り、そこに居たのは深々と心臓にナイフの刺さった母。そしてその後ろで奇妙な血塗れの手で精神障害者の落書きの如き図形を壁に塗りたくる、手負いのエルフのおっさん、お菓子屋さん。よろよろと母へ近付いて、花を手に持ったまま呼び掛けて。母は手を伸ばして、偶然にも花に触れる。赤が滴り染められた花、もう純白ではない花の輪郭を指がなぞり、「また天国に行っても、こんな綺麗な赤い花を見させてね」と。それが果たして赦される嘘であったのか、嘘と認めていい嘘なのか、何一つ理解の及ばぬままに絶命。
エルフへと激しい抵抗はしていたらしく、そのエルフの左腕は折れ、額から血を滴らし片足も歪な方向へと曲がっていた。それでも奇怪な笑みを貼り付け屈み込み術式を描き続けるエルフ。ファルはそのエルフを視界に捉え、母の身体からゆっくりとナイフを引き抜く。そして屈んでいるエルフの背後から深々と、ナイフを突き立てた。
血の指の跡を引き摺り倒れたエルフの前の壁には、完成された術式が一つ、図形や記号の絡まった、赤い奇怪な花弁の如き魔術式が描かれていた。そして全てが完成し、淡い血色の燐光と共に作動する。意識を保ちつつも無意識下にて人を殺し続ける、例え知り合いだろうと友達だろうと無差別に、止められはしない殺意の衝動がいつ何処で引き起こされるかも分からない莫大な蓄積された術式が、呪いがその身に宿った瞬間だった。母の死という絶対的な絶望を、引き金として。精神を、壊して。
そして、この原因を知らぬままに村の人々を殺す事となったファルは、原因は母にあの言葉を言われたからと結び付ける。嘘であり、信じてはいけない言葉。嘘だというのに、最後の言葉。赦してはいけない嘘、そして何よりも自らが嘘だと解っている嘘、「綺麗な赤い花」という言葉を抱え続けて、殺し続けた。後に『赤禍ツ』の由縁となる母への手向けとなる赤い花弁の様な猟奇殺人を無数に遺しながら、親友を、知り合いを、見知らぬ者をただひたすらに殺し続けた。……とある盗賊団に捕らわれるまでは。

一方でもう一人の被害者が居た。全てが終わった家に現れたのは、エルフの少年。父親、ザナークの亡骸と、その前に描かれた引き金の術式。分解された術式であるお菓子を作り続けたエルフの少年、ゼルサリスもまたファルと同じくして殺人鬼としての道を歩み始める。





☆盗賊団加入

2年後の12歳の時。ファルが捕まった。警察組織でも騎士団でもなく、盗賊団に。全く意図の分からぬままに捕らえた者達のアジトにて見回す。全員が悪人面していて、明ら様に悪者軍団という雰囲気があった。が、その中心に居たのは眼鏡を掛けたヒョロい中年の人間だった。名はリザルグ=リム=ゼムアトス。後にファル、そしてラゼットの信頼の置ける師ともなる人物にして圧倒的な記憶力だけが取り柄の大馬鹿である、メルガス盗賊団の団長であった。
リザルグは壊れ切ってねじ曲がり果てた正義感の塊の様な人物であり、犯罪者をこの手あの手で集めては更生させていくという、しかもその更生させるまでの間に犯罪を指示し行わせ時に殺人すら引き起こさせる圧倒的なまでもの理解不能な頭を持っていた。
仲間にした重罪者を助ける、その為の他者の死は厭わない。死によって死を学ばせる、リザルグの二律背反し過ぎた思考回路の元に生きる事となる。
捕まえた理由など無いに等しく、少女が犯罪を、人殺しを行っていたから更生させるといったそれのみで。訳の分からぬ内に生活が始まった。

殺人を許容するとしても、それは一般人を相手としなかった。自ら達と同じ様な犯罪者、殺人犯、強盗犯、または明確な証拠を持った潜在犯を標的として殺し、殺人者達の欲を満たしていった。盗賊団の名の通り、金品があれば全てかっ拐って行ったのだが。犯罪に関しては全て裏取りが付いており、恐らくは更生の余地有り、無しを個人的に見極めていたのだと思われるが今となっては分からぬ事。殺した後は皆で食事し、あの時こうすれば良かった、これが駄目だったとミーティングじみた事を皆で繰り返した。時には笑い合って、喧嘩もして、喧嘩の時には剣や銃を振り回しぶっ放ちながらも、また仲直りしては殺し殺されの世界に身を委ねていった。
斬り合いで仲間が死に、共に笑い合っていた者が消えて嘆き、戦いに赴いては殺意に心を満たし呪いの影響である殺しを成していった。そして罪の重ね方を考えろと何度も団員に言い聞かせていた団長の言葉が深く根付いていった。卒業としてマトモに生活を送れる様になった者は少しずつ消え、また犯罪者を連れて来ては団員としていく。殺す度、次第にファルの尾の赤色が背を這う様にも禍々しき侵食を見せていった。

とある街へと寄った際、華麗に逃げ仰せる一角兎獣人を捕まえる。その人物は数多くの宝石の類いを盗み続けた宝石泥棒、ラゼットであった。仲間にしたのではあるが、教育係はファルへ一任、手間の掛かる弟分として様々な事を教え込む。その間で絆が生まれ、そしてそれすら見透かしていた様にもリザルグが、ラゼットへと極秘の依頼を計画する。

リザルグが盗賊団の中で極秘にチームを形成、4年間という期間の中でラゼットを含めた三人の団員の持つ聴力や盗賊技能を活用しファルの"殺す理由"を突き止め更生させる要素を見付け出そうと考える。それによって"赤い花"にて抑制する事が出来る事と、一番最初の惨劇の現場にて様々な要因となる術式構成やお菓子屋の情報を得る。極秘の依頼とは、仲間の原因を探り助ける依頼。言葉では、そして仲間だけでは足りない、解決策が無いと見たリザルグがその根源を明らかにしようとしたのだった。その間盗賊としての他の仕事、ファルの為の殺しの機会が失われる。
調査終了の際、団員の為に積極的に動いてくれただけでなく、仲間との関わり合いを初めて知る事の出来たラゼットを更生させたと見て卒業させる。

ラゼットの残した最後の情報、ザナークの跡を継いだゼルサリスが生きており古典的な魔術であるが為に作った術者を殺す事で元通りになれるという解決策と、ゼルサリスの行き先の全てを突き止める。
それと同時、ファルが団員を全員殺害。皮肉にもファル自身の理由を探していたが故に衝動を抑制する事が出来ずに家族同然ともなっていた者を自らの手で赤き花とする事になった。

メルガス盗賊団は内部から壊滅、リザルグが遺した一枚の紙に書かれたゼルサリスの行き先、ペティットへと嘆く時間も無いままに向かう。何一つの抑制力を持たぬまま、ただゼルサリスを殺す為だけに。そして家族同然だった者を殺してしまった罪を抱え、もう一つの呪いを持ちし者……自らを殺す為にも。

強い冒険者と自警団が居る街、この街で全てを終わらせると誓って。




☆ペティットにて

目的はゼルサリスを殺害する事。しかし果たして本当にゼルサリスの呪いだけが原因であるのか、母の嘘を信じていたいが為の殺しではないのか。結局分かる事など何も無く町や村を経由し殺しながらも唯一の手掛かりであったペティットの方面へと。その間に猟奇殺人鬼『赤禍ツ』として確立される、が、目撃情報がペティットに近付くにつれて一貫性が無くなり、もう一人が居るという事を確認する。
自身も罪人である為、自警団を味方に付ける事は難しいと考え様々な要因を絡めて人を集める事を決意する。
その為に友達となったり、敢えて憎悪を抱かせて自らを追わせたり、そしてバイトによる資金集めや凶賊との協力等で集めた資金を自らに賞金首の懸賞金として掛け、ペティットを守りたい者や金集めの為の者、自らに憎悪を持つ者を煽動し赤禍ツを捕獲または殺害する状況を、ゼルサリスが気付く前に組み立てていった。それをファルは釣り針と呼び、決して仲間とは見なさずに全てを道具として見なし切り捨てる、そして殺し殺される覚悟で関係を築いていった。寧ろ殺される事を望んでいたとも言え、最終的に目的は二人の赤禍ツを殺す事として定まっていた。故に最大の釣り針、自らを確実に殺してくれると約束したセシリアとは友達という関係の狭間で揺れ、それを皮切りに無数の者達をただの道具と見なせなくなってきている事に戸惑いも生まれていた。
この優しい街でもう殺しをしたくはない、しかし衝動はもう抑えが利かなくなってきており、来たばかりの時とは違い殺しへの戸惑いが大きくなってきていた。買ってきた赤い花を見る事でどうにか抑えられていただけであった。何れは殺意を殺せなくなる。自身が壊れる前に、ゼルサリスに気付かれずに静かな包囲網を張る事を最優先としつつも。

全ての決行の日、自警団詰め所の唐突なる襲撃と陽動を成功させる。落とした手帳にはゼルサリスの向かうべきクロノドラへの行き先を示させ、港へ、特にクロノドラ行きへの船を重点的に警戒させゼルサリスの身動きを止め、後は釣り針に掛かったペティットを守る為の猛獣達に任せるつもりであった。最大の問題は、自身が捕まればそれで全てが解決として終わってしまう事。自警団を信用していないが為に起きた事柄であり、それ故にゼルサリスが殺されるまで、自らの呪いが終わるまで捕まってはならないという事が起きた。自身は決して強い訳ではない、だからこそ逃げ、その上で本命の赤禍ツにどうぶつけるかが問題であった。
更には赤い花を見る機会も無くなり衝動が悪化、呪いが身を蝕み自らの体毛の全てを赤く染め、殺戮衝動を引き起こしてしまう。引き返せず、殺すしかなく、それでも捕まる訳にはいかない。無数の背反と混沌とした意識の中で自警団や街を大切に思う者、ファルと友達で居たいと思ってくれた者達による大きな衝突が起きる。
情報を元に駆け込むユベルティ、神の贄としようとするラクリモーサ、助けようと動いたべリアに、自警団として捕らえてから全ての罪を明らかとしようとしたザラメデス、ダストマウンテンでの交戦の後にザラメデスの協力として捕らえんとするジュリエッタ。暴走した赤禍ツとしてべリアさえも殺さんと放たれる凶弾に、殺す為に振るわれるハンスから購入したナイフ、受け止めるジュリエッタに、横取りとして殺さんとするラクリモーサの雷撃がファルの左腕を破壊し、エレナカレンが逃走路を作りレーラが不死鳥の丸薬をファルへ、与える。まだ捕まる訳にはいかない、と。だが、死を生み出し続ける存在である事には違いはなく。正解は一体何なのかさえも見せないまま。
無数の願い、街で出会った者達の思いを抱えたまま、赤き夜を駆ける。

一方、全く姿を見せなかった、赤禍ツの呪いの影響で赤髪となったエルフのお菓子屋さん、ゼルサリス=プロスメギテルスは陽動、そして様々な証言にて炙り出される。だがただのお菓子屋さんではなく、無数の殺しを主とする術式を扱う殺人鬼であった事も目撃情報からの事実、黒と白の双剣を扱い、嵐と火焔の殺戮術式を主とする二人目の赤禍ツにして黒幕であった。セシリア、エレナカレンを初めとした真実を知る者達が追い、そして激しい二回に渡った戦闘、死闘にてその肉体を破壊するも特殊な魔術、魂を分離させ黒と白の双剣の魔宝珠へと移転させる禁忌の術式を起動し死を免れ魔力を喰らい生きる化け物へと成り果てる。

完全に赤に染まり切ったファルは、手紙を寄越した神父、ギガトールの方へと向かう。一度夢魔事件にて協力を得た相手、もう一度話そうと機会を設けたギガトール神父に、しかしもう戻る道は無く掲げる理想さえありはしない、可能性は無いとして出会い頭に斬り掛かる。ハンスから預かっていた肉斬り用の特化ナイフだったが、その身体そのものにて受け止められる。溢れ出す赤。そして右手をへし折られ、一つ前の戦闘にてラクリモーサに破壊された左腕は動かず、それでも殺してやると猟犬の牙を剥き出しにする。そこで神父様が見せたのが、"母と同じ光景"。ファルのその右眼を跳ね、完全に壊し盲目たる闇を見せたのだった。どんな気持ちで母が嘘を付いていたか、その想いを教え込まれる。全てを受け入れ、嘘を嘘だと認め、母の愛を認め、呪いだけが自らを殺しに導かせるのだと本心から理解した瞬間、赤の侵食が次第に落ち着いていき赤色は尾のみに留まった。自らを縛る嘘の呪いに討ち勝った瞬間だった。

また一方で、ゼルサリスは全てを殺す気でいた。公園にて無数の人を殺し、噴水へと亡骸を集め全ての血を使いその広場へと巨大な魔術式を描き出していた。得意とする、血にて描く術式、赤禍ツとしてのものであるそれは死した人の憎悪や恐怖の量をそのまま魔力として変換し空中に浮き上がる赤き魔力塊とさせていた。殺せば殺す程、そして殺し続ける限り生き続ける最悪の機関であり、禁忌の術式にて魔力があれば生き続けられる化け物となった今では剣の魔宝珠自体を壊されなければ何度でも身体を復元出来る、つまり殺し方を知らなければ絶対に殺せない存在へと成り果てたのだった。居合わせた者、聞き付けたもの、ファルの為に戦う者、集まった9人各々が各々の想いを抱えて戦いを開始した。
何度切り裂き身を砕き破壊しても復元し続ける黒き身体、瞬間移動の如き身体の転移、無限とも言える魔力から繰り広げられる殺戮の嵐と業火の如き火焔の渦。長い長い戦い、血と肉体の摩耗とそれでも諦めぬ者達は立ち上がり剣を握る。更に迫り来る死の魔術、死の暴風。
その中で知恵を絞り出した者達が指示し、そして地面の術式を掻き消す。供給が止まり、再構成、復元の手段を断ったと同時、更なる指示と予測、剣の魔宝珠が本体とのユベルティの叫び、セシリアとエレナカレンの一撃が黒と白の双剣の魔宝珠を同時に打ち砕き、"赤禍ツ"ゼルサリスを討ち倒した。古典的な魔術は術師の死によって解かれ、ファルの尾は元の純白の色を取り戻し、全ての呪いが打ち砕かれ解放されたのだった。

しかし、証拠として認めないのは自警団であった。たった一人の自警団、最初にファルが襲撃を仕掛けた際に攻撃を受け生死の境をさ迷った自警団員、フィリスト=レガリスがそのファル自体の危険性を訴え、ゼルサリスとの戦闘を無きものとして扇動し殺すとまで言い放った。(後にサラ自警団によって撤回される。)

そして、約束の日となる。セシリアが殺してくれると言ってくれた、友にその罪を負わせる苦しさ、それでも今まで大事にしてきた友を何度も殺してきたからこそ、それを抑えきれなかった自らを罰して欲しいとして、友に殺される事を願った。

最後の赤禍ツを殺して欲しいという、願いを。無数の友を殺した罪を、自らの友に殺されるという、償いで。

自警団と賞金稼ぎと冒険者、そして友達。錯綜する思考の中で殺してくれると約束をしたセシリアは言う。

「そうだな、確かにそれを頼まれた。そして了承した。あの時は友を自分の意思関係なく殺すファルを救いたかった。友から友を…だが今は呪いはない。これから殺すか殺さないかは完全にファルの意思だ。楔はもうない。そして私は生きてほしい…。…………ファルベリア。君は罪を犯した罰を受けるべきだ。全ての被害者がそれを望んでいる。セシリア………アリアンロッドの名にかけて君を断罪する。
生きて……どんなに苦しくても両足が砕けても目が光を失っても、はいずって生きてみせろっ!死んだら終わりだ悲しみも辛さも何もかも…私だけに押し付けて逃げるなど許さない!死ぬのは………私が死ぬその時まで許さない!死ぬ時は私が殺すのだから」


そして、その言葉に、


「セシリアの為に、十字架なら背負える。──もう、罪を塗り重ねはしない。最後の罪も」



自らの存在、最後の赤禍ツを殺すという選択を捨て、罪を重ねる事なく、逮捕へと至った。








──時間軸

0歳 モルンニア郊外の村のシュヴァロット家に生まれる
6〜10歳 赤き呪いを蓄積させていく
10〜12歳 呪いの発動。人を殺しながらも一人で生き続ける
12歳 メルガス盗賊団に所属
17歳 ラゼットと遭遇
23歳 メルガス盗賊団全員殺害、情報を手にペティットへ
23歳 ペティット到着、事件の後に逮捕

23〜24歳 牢獄にて過ごす
25歳 現在


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