・11/07/15 教会の丘 encounter:ギガトール/ソラ
[切り取られた頁 7]
右目は、光を喪った。雨音だけがただ聴こえる。ソラはどうにか撒けたと思う。
取り敢えず、あの子に貰った不死鳥の丸薬を。失った器官が取り戻せる気はしないけれど、この焼け壊れた左腕と砕かれた右腕は元に戻るだろうか。
彼は分かっていたのかな。
殺そうとすると、けれど忘れさせはしない想いが過る。苦しい。
母さんのずっと見ていた視界。暗い、暗い、闇。この闇の中で私を探した。愛してくれた。
痛くて苦しい。知っている、そんなこと知っているんだ。けれど無視していた。けれどもう目を逸らす事は出来ない。暗くて怖くて暖かくて痛くて優しくて私にはもう分からない。
もう此所で、何れくらい時が経ったか、分からない。絶望的な長さを此所に、居たのかもしれないし、結局、短かったのかもしれない。そうしてまだ続く時間が、あと少しで終わるのかもしれないし、まだ永遠の様に続くのかもしれない。
この苦しみは、いつ解放されるのか。どこまで信じれるのか、分からない。全て私の撒いた針に掛かった猛獣達に掛かっていて、そして、私にはただそれを信じることしか、できない。
愛すべき猛獣、か。大好きな友達。私の。
目を閉じれば更なる闇が包む。暫く、そうしているのも、良いだろうか。
母さんはこの闇の中でも、疑う私をただ信じ愛してくれた。赤き禍つに殺された時も、ずっと。
その嘘を赦すよ。そして私も、信じて、愛する。
この闇の中で。
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