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・11/06/20 貸家 title[金も恨みも殺意も友情も全て釣り針として]
資金は整った。あとは全てを揃え注ぎ込むだけだ。誰もが持つ金の意味とは真逆な私はさぞ滑稽だろうが、それでいい。首吊り縄も、踏み台も最後は高級であればいい。多分そんな感じ。

釣り針である一方、それらは目的を達成する為の糧ともなる。この街には優しい人が居すぎるんだ。そんな所に居座られたら、嫌なんだよ。だから二人共々この手で終止符を打つ。

間接的に過ぎないが、それで手が回れば良い。彼女は約束を守ってくれるのだろうか。後悔させてやるとの言葉が気になる。それでも幾つもの保険、釣り針は垂らした。

触れ合ってきた者達がどう思うか知った事はない、とは言い切れない。楽しかった日々は確かに私の生きる光ともなったが、その光が強まれば強まる程に何故か闇が増えた。その理由はもう既に見付けている。
触れ合ってきた者達が死ぬこと。幸せが、その人達の幸せが途絶える事。今まで私は目を逸らし続けて、無理だと嘆いては友達を、知り合いを、名を知る、顔が分かる者を、見知らぬ人を殺め続けていた。母に捧げる赤き花の為に、信じてはならない嘘の為に。

嘘故に人を殺すのか、いつ掛けられたかも分からない原理不明の呪いとしか言い様の無いものが原因で人を殺すのか、判明出来てはいない。けれど嘘を信じない要素は揃っていて、呪いの証拠も揃っている。
ここまで来て漸く尾だけに留まらなくなってきた。奴と、同じだ。どういう事が起こるかなんて知らないけれど、前例なら確り見ている。母さんの殺された日に、確りと。

みんなの幸せを守るため、なんて言葉は今まで殺してきた屍の上で胡座をかきながら言えた言葉じゃないのは分かっている。
けれど、私にはしなければならない。その為にこの街に来たのだ。耐える時は、終わった。私の幸せな時も過ぎた。だから、終わりにしよう。

今度は私の為じゃない。

もう殺す事すら抑えられないんだ。これ以上、私の生きる時間に比例し他人の命が奪われる事に耐えられやしない。

終わらせる。私にその覚悟だけあれば、それでいい。

私の生きてきた意味が、全て無意味に終わらない事だけを願う。



さぁ、始めようか。


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