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・11/05/12 広場 encounter:ユベルティ
傘を借りてしまった。濡れずに済んだから、この手帳も乾かす手間が省けた。風邪をひいていなければ良いのだけれど、彼が。
いつか返さなければならないだろう。そこで、語れるものはない。あまりに錆び付いた私は潤滑油があっても回りにくいというのに。

好奇心は身を滅ぼす。探求心から人の過去を探る事もあるだろう。足跡を辿り、そうして追い付いた時には赤い痕を残して消えているだけ。

探求心でも好奇心でもなく、いいや、もうそれでも構わないのかもしれない。餌は一つだけでなく、化け物を狩る者を集めれば。

金、好意、友情、意見の違い、探求心、好奇心、不信、疑惑、正義感、罪人排除、咎追い、賞金稼ぎ、そして友人、か。

餌と釣り針は幾らでも揃えられる。期限はそれらが食らい付き引き千切り私を溺れさせるまで。

終わりの合図は私が出す。それまでは死ねないだろうし、その間に本当の事を見付ける必要がある。

手掛かりはあまりにも少ない。それでも可能性は残っている。その可能性に届くとは思えないのもあるが、屍の足場では自警団に崩されるのが見えている前提。真実を掴む可能性であり助かる可能性に繋がるとは全く思えない。

もう拭えないのだ。

凶賊を殺すにしても罪人を殺すにしても、だ。
同じ人殺しだとしても、賞金稼ぎとはその罪は存在しないのだろうか。面白い世界だよね。一般人が罪人を死刑に出来るんだ。それも、自らの手で。

その罪は罪により洗い流されているの?

全てが明らかになって、罪による罪としたとしても、禍根を潰したとしても私にはもう分からない。寧ろそれらを思考する意味合いはもう私には無い程手遅れである事は自覚している。

ただ、終わらない輪廻を撃ち壊す。

それだけは、確かだ。例えどんな形であろうとも。


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