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・11/04/18 闘技場 encounter:グリフィン
彼は、影使いのグリフィンと言った。聞き覚えがある気もするし、無い気もする。師の言っていた気を付けるべき人達のリストも、もう何処に行ったやら。憶えきれず、そうして危ない目に会うのは私だというのに。

それにしても本当に危なかった。死ぬ所だった、と片付けられはしないだろう。あれは、死んでいた。私はあの時既に死んでいた。

情けとも思えず、気が変わったと言えるのか。結局の所相手の意思は何も見ては取れなかった。けれど、いつかは私を殺しに来る事は確実だ。
今の私では確実に、あの魔法なのかその他の呪術なのかさえ分からなかった影の力に殺されるだろうから。それまでに、今まで会ってきた人に別れを告げるか、それか私の真相を見届けて死を受け入れるか、あれに打ち勝つ様にどうにかするか。選択しなければならないのかもしれない。
贅沢に死なせてくれるらしい。その提案には、喜んで乗るしかない。

賞金稼ぎは情報を頼りに、という事は尾をやられなければバレる事は無かったのだろうか。多分、無い。元々狙ってきていただろうし、目星は付いていただろう。包帯が解けている事には気付かなかった。観客が本当に少なくて良かった。あの時は既に居ないに等しかったし。
それにしても、痛い。包帯を巻くのは尾だけではなくなってしまった。腕は少し深いがそれ以外は問題無さそう。依頼の実行に支障が無ければ良いけれども。

そういえば、賞金稼ぎか。

なら、彼も候補内かもしれない。殺す気で来たという事は、そういう事だ。私のバイトで働いている意味も、この依頼で手にする大金の行方も、報われる可能性が出てきたという事だ。
赤禍ツという名は何れ程の餌になっているか、漸く分かった。あとは丈夫な釣り針を長く、長く垂らすだけ。

首が二匹分吊れれば、狩人にとっても儲けものだろう。


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あきゅろす。
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