・13/12/02 すずめのお宿 encounter:キリイ 風呂、上がったばっかりで頭が回らねぇな。とりあえずキリイさんの居ない内にこれだけ書き上げて、あとは。 まさか「紅椿」だとは思わなくて。そんな、だって、料理は桜花の高級モノだし、一番いいコースっぽいし、なんで、こんな。まだちょっと、全然整理出来てなくて。こんな機会多分、二度と無いような。 外は雨だったけど、紅葉が凄く綺麗で。もう落ち始めてたけれど、本当に、綺麗で。屋根付き露天風呂で、まぁおじいちゃんとか子供連れとかも居たんだけど。郊外温泉宿とも違って、タオル一枚ってのは、やっぱなんていうか。混浴だし、別々なら、だけど。 俺だって稼いできたばっかりだけど。キリイさんの地道にコツコツ貯めてきた、ってのには全く敵わない範疇の話で。こんなんで、いいのかなぁ。派手に使う機会が無いって言ってたけど、だけど。一人暮らしだからって、いや、だからこそ、なのかな。 いざこざは終わったのかって。一つは終わった、って答えた。ずっと、おかしかった、とも。もう、ずっと壊れてて。投げやりで、自棄になってて。でも、何も言わずに撫でてくれて。すごく、安心した。その後浮いてた入れ歯をおじいちゃんに返した手で撫でてた事に気付いて鳥肌が立ったけど、多分違う手で撫でてくれてた筈なんだきっと多分そうなんだ。 キリイさんと意見の一致した要因、此処に来た理由は肩凝りで、だから肩くらい揉んであげるって。結構、広い背中って、別にだから何って訳でもないけれど、古傷とかも沢山あって、やっぱ腕とか、本当に凄い自警団員さんだった、のかなって思うけど。俺のタオルが少し、ずれた事に気付くの、めっちゃくちゃ早かったし、本当に、どこに目が付いてるんだ。余裕そうで、全然余裕無かった俺とは大違いで。大人だから、なのかな。いや、俺だって大人だし。 俺にもしてくれるって、だからちょっと戸惑ったけど、任せて。頭をまた撫でられて、逆に何も見えなかったから、やっぱり変に力が入って。 でも、これはちょっとした、幸せな夢だから、って。俺が、夢みたいな話だから、って言ったら。夢で、いいんだ。一時の、たった一夜の。 この時だけ、全部嫌な事は横に置いて、いいんだって。そう思えて。 またいつか、お金とストレスが溜まったら現実逃避しに行こう、なんて。冬に南の島、夏に北の地に。 改まって、名前を呼ぶから。また少し緊張して。そうしていたら、角に、キスしてくるとか。俺、だって、もう。いいアイデア出してくれたご褒美、なんて、俺。嫌じゃないけど、だって、これはやっぱ、夢で。 頭の上に葉っぱ乗せられて、脱衣所で鏡を見るまで忘れっぱなしだった。恥ずかしい。けど、それ以上に色んな事が。やっぱ、上がる時とか、上がれなかったの、バレてたんだろう、な。あのまま沈みたかった。あぁ、もう、ホントに。ダメだなぁ、俺。 撫でてくれたのが、ずっと残ってて。母さんみたいな、姉さんみたいな、ひと。安心して、近くにいていいんだっていう。 凄く、安心するんだ。 一夜の夢、って。 そう、いうふうに思ってたのが、いけなかったのか、眠れないのがダメだったのか。夢だから、って。 もう頭の中が、逆上せてたのもあったし、キリイさんが横で寝てたのも、あって、上がる時のも、それで、だから、でも。 あんなのは、ズルい、俺、バレないように、だって。だから離れてた、のに。 そういう目で見てたわけじゃなく、て、なのに。俺が暖かいからって、そんな。前に淡桜で、寒い日は抱いて寝たいって、そういうのも聞いてたから、けど、俺だって、抑えてたのに。我慢してたのに。隠してたのに。 バレ、て。 「何?経験ないわけじゃないよね?」って、笑ってきて。ある、わけ。 挑発みたいに、だからっ。俺、は。 夢、だから、って。 それから、もう。熱くて、止まらなくなって。 何度も、何度も馬鹿みたいに、抑えてたのに。 起きたのが午後で、街に戻ってきて。 本当に、夢なら。 こんな、こんなにだなんて、思わなくて。まだ、ずっと残ってて。 あぁ、でも、だから余計に、顔、合わせらんねぇ。 もう、ほんとうに、どっかに消えてなくなりたい。 [↓Back][↑Next] [戻る] |