・13/01/30 貸家 title:[二通の手紙] 『 やっほー、元気してる?今ペティットって街にい るよ!もっちろんヘタレなラゼットが全速力で走 っても間に合わないってのを想定して手紙は送っ ちゃってるけれどね! 実は私も盗賊団を卒業したんだ。今は自由に生き てる。辿り着いてから暫くするけれど、この街の みんなはとっても優しくて、とっても頼りになっ て、大好きな友達も出来て一緒にいてとっても楽 しいんだ。 っていうか本当に届いてるのかな?返信は出来な いよー!残念!もし冒険者とか賞金稼ぎとか旅人 とかになって元気にしてるなら一度来てみてね! もしまた犯罪とか犯してたら知り合いの誼で全力 をもって殴るから!じゃ! 』 『 去る事にした、厳密には去る事になっちゃった、 かな。 実を言うと前の手紙を送った時には、団長を殺し てしまっていた。自由を与えられたんじゃなくて 私が殺して奪い取ってしまっただけなんだ。ごめ ん。言い出す勇気も、償える気もあの時はしなか ったんだ。驚いていると思う。けれどラゼット、 君だけではなく無数の人達に私は迷惑を掛けた。 命を奪った。生活を、家族を、何もかも。分かっ ていたけれど、止められなかった。私にはどうし ようもなかった。 でも、それでも目を背けない事にしたんだ。今ま では諦めていたけど、ここに来て色々分かったん だ。そして助けられて、重ねる事が無くなったん だ。私の罪を。償い切れるとは思っていない。け れど償い続けるよ。死ぬ事が贖罪だと言うのなら 、私はそれだけで罪を重ね続ける事になるのだろ うけれど、それでも。ずっと。 神様って信じる?私は全く信じてなかった。居る 訳無いって口癖の様に言ってたからラゼットは覚 えてるかな。でも、居ても良いって思えたんだ。 罰を与えるにしても、救ってくれるにしても、さ 。 私にとって団員は家族みたいなものだった。だか ら、ただ一人残ってるラゼットに家族として、こ の街に来てもらいたかった。本当に優しい街だっ たから。 だから、繰り返さないでほしい。誰も殺さないっ て。誓って欲しいんだ。我が儘なのは自覚してい る。それでも、お願い。 でも団長のおかげで更正したから大丈夫かな?私 とは違うもんね。大丈夫だよね!そう信じてるか ら! ラゼットの求めるものが見付かる事を心から願っ てるよ。じゃ。 本当に今までありがとう。 』 [↓Back][↑Next] [戻る] |