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ベルクァイン


──ベルクァイン=ナックロック──





「要らないよ、全て、兄さん以外の全てが」
「僕は全て聞いていた。どれも表層でしかないものだ。それでも、最初の言葉の通りに。その過程は二つだ。……僕は、成し遂げる。続きを」
「二つの内の一つは、兄さんの必要悪だ。もう一つはただ、僕の為の願いを」
「──これから幸せになるんだよ」


殺人鬼マーシレスを騙る大量殺戮者であり全ての記憶を音声情報、文章情報を用いアナログ的に引き継いだ摸倣犯。

黒斑の父ベルラッド、三毛の母ロアイナの間にナックロック家の長女として産まれた三毛の猫獣人であり、兄のベルナートと四人暮らし。
ベルラッドは郵便配達員、ロアイナは主婦であり何一つ問題の無い平穏な生活を送っていた。ただ唯一の、子供に対する思考を除いて。

三毛猫は女しか産まれない、30000人に1人程度と言われる奇跡的な確率で産まれる男の三毛猫はその存在の珍しさから有名になれるとロアイナはただひたすらに信じ込んでおり、産まれる子供に対し狂信的なまでに三毛猫の男の子である事を願っていた。ロアイナがただ裕福になるように、平穏過ぎる日々を抜け出さんとする為に。

そうして生まれた黒斑の男の子に絶望し殺そうとするが未遂に終わり、第二子への期待が向けられるものの、それは三毛猫の女の子であった。

ロアイナはその三毛猫の女の子を男の子として育て上げる様計画するものの、それは破綻し成長するに連れて虐めの対象、そしてナックロック家の異常性を囁かれる事となる。無関心の父、嘘をただ取り繕い狂乱する母、そんな中唯一、弟として育てられたベルクァインを守る存在が兄のベルナートだった。

一切両親に見向きもされす全てを直感的にこなし生きてきたベルナートは何一つの不自由もなく、しかしながら周囲との齟齬に悩み、ただただ虐めの対象となるベルクァインを守る内に、理解のされない悪を全て打ち倒す存在である事を意識し始める。それは社会的な悪として認識され、問題行動が露見しては両親にすら守られず暴行を受け、周囲に誰一人として味方が居ない環境が作り出した、唯一妹に対してのみの正義であると知覚し始める。

10歳の時に、ベルナートが妹であるベルクァインに「クーの敵はみんな倒してあげる」と約束し、カトランデを発ち、とある組織へと入る事となる。

組織の目的は殺害者の累計の移り変わりを視る事の出来る「瞑數の瞳孔(アドムズ・オーヴィス)」の保管と、死の意志の強大さを研究し続けたエルフ、アドム=ロギアストロスの生涯、何千年もの全てを費やし自らの死を媒体として作り出した結界にして異空間たる「赤環と黒面の境界」にて、願望を抱く贄をただ一人選出する事である。

ベルナートは無数の殺人を行った組織の殆どを殺戮し、残った武器ではなく道具としてのエゼルケイノスの六番型を使役し、そしてその組織の殺り方に倣い、全ての集大成として、集約し、全ての悪の死を願う贄として、殺人鬼ゼルサリスを追ってペティットへと辿り着くが死亡、その情報と経緯の全てを妹へと残し、ベルクァインは摸倣として達しえなかった目的を果たす為に、ただ目的の為に動くマーシレスとして生きる。

だが最後には妹としての復活を願い、異空間、「赤環と黒面の境界」にて自ら生贄となり死亡、ベルナートを復活させる。



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あきゅろす。
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