「れれれれれん!起きて、ねえ!起きてってば!」 突然ドアが開いたかと思えば、何が起こったか理解できないままゆさゆさと身体を揺さぶられ、起きるように強要された。寝ぼけ眼で自身を起こした奴を見てやれば、見なれた金髪に翡翠色の瞳。それがリンだということが直ぐに判った。 「んだよ…。折角人が気持よく寝てる時に…」 不機嫌な顔で悪態をついてやるがリンは全く動じてないらしく尚も俺を揺さぶり続ける。 「寝てる場合じゃないんだって!見てよ、これ!ねえってばぁ!」 しつこく主張してくるリンが段々鬱陶しく思えてきたので「なんだよ!」と言って己の布団を勢いよく剥がし、上半身を起こした。突然の行動にビックリしたリンはきゃっと小さく悲鳴を上げると、俺から少し身を引いた。 携帯電話を開き時計を見ると、時刻は午前6時。あと30分は寝ていられるのにこんな早くから起こしやがって…。つい三時間前まで俺の部屋に居て散々喘いでいった癖にまた強請りにきたのか?それとも何?終わった後さっさと自分の部屋に帰るように言ったことを今更文句言いに来たのか?(でも他の奴らにバレると厄介だから一緒に寝ないのは当たり前だよな?) はあ、とリンに聞こえるように大きく溜息を吐く。 「…で、何?こんな朝っぱらから。」 何にせよ、リンがなんでこんな朝早くから俺を訪ねてきたのか訊かなければならない。ベッドの上に座り直し、背伸びをする。 「えー!レン、リンを見て何か気付かないのぉ?!」 「…はぁ?」 なに言ってんのこいつ。そこで初めてリンの顔をじっくりと見つめる。…ん?なんか髪伸びた?少し癖のあるセミロングの髪が…腰まである。あれ、なんか輪郭も少しシュッとした感じがする。っていうか…身長、俺よりデカッ! 「は?…は?!なんで俺より背高くなってんの?」 「ちょっと、突っ込むとこソコー?!違うでしょー?」 リンは頬をぷくっと膨らませると俺の手首を掴み…ってうわあああぁぁぁぁ!!!!!! 「なななな何してんだ!」 「えっへへー!凄くない?凄くない?こんなにおっきくなったんだよ!」 リンは俺の手を自分の胸に押しつけてきた。…すげー柔らかいんですけど。うん、悪くない。反対の手もリンのそれを掴み、両手で揉みしだく。 「レンっ、触りすぎ…!」 「なんだよ、昨日はもっと触れって言ってきた癖に」 そういうとリンは顔を真っ赤にして小さく唸った。うーん。姿は大きくなってもリンはやっぱりリンだな。でも、一体なんでこんな急に成長したんだ?しかもなんでお前だけ?!そう、特に背とか、背とか、背とか!!!全くもって羨まけしからん!胸中を怒りで燃やしているうちに揉む力が強くなっていたらしく、リンが「痛っ」と声を漏らした。 「ああ、ごめん」 「んーん。」 リンは首を横に振ると「いーよ」と言った。ん?なんかこいつ、いつもより大人しくね?気の所為か?痛くすると怒る癖に…。それともなに?自分だけ大人に近づいたからってちょっと余裕ぶってんの? これは少しリンさんを懲らしめてやらなきゃダメだよな、うん。ちょーっと俺より背が高くなったからっていい気になるなよ! 「ちょっ、レン?!」 俺はリンの手首を掴むと自分のベッドに引き込み押し倒すと成長した身体の上に馬乗りになる。年上を攻めてるみたいでなんかいいk(ryっといけない。俺はそんなサディスティックな趣味はないです。 リンのセーラー服を捲り上げようと裾に手をかける。改めて乳をみると凄い迫力。確か昨日までのリンのサイズってAだったよな?これいくつあんの?C?D?決して凄く大きいわけではないんだけど形はめっちゃ好みです。育てた甲斐があったなぁ、って俺ちょっと親父臭い?まあ、いいや。さーて、折角なのでちょっと頂きますか。リンを懲らしめられて、俺も堪能できる。なんて素敵なお仕置きなんでしょう! 抵抗するリンを軽くスルーして手に掛けた裾を上に捲り上げ… 「ぴゃあああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」 ―――って、叫び声?これ、リンの声だよな?でもリンはここにいるし…。声は確か隣の部屋から…隣ってリンの部屋だし。あれ? そんなことを考えていると俺の部屋のドアが勢いよく開かれた。何かと思い目をやればそこには三時間前まで一緒にいたリンの姿。後ろからドタドタと追いかけてきた…金髪長身の男。 「れれれれん!」 「りん?」 「あ、あ、何やってるの」 「何って…」 オーケイオーケイ。落ち着くんだ俺。今の状況を整理しよう。まず今この部屋には俺と、成長したリンと、昨日まで一緒にいた姿のリンと金髪長身の男。ドアの方にはリンとその例の男だろ。そしてこっちサイド…ベッドの上には成長したリンを押し倒した(しかも脱がそうとしている)… 「違っ、違うんだ、リンっ!ってあれ?」 どっちが本物のリンなんだ?!アタフタしているとドア側にいるリンが近づいてきて… 「レンの浮気者おおおお!!!!」 叫び声と共にバチーンと俺の頬を叩く良い音が部屋の中に響き渡る。いってー!なんなんだよ、もう! 反論しようとすると部屋の外から騒がしい音が聞こえてきた。さっきから大きな声出していたから何事かと思ったのだろう。皆が起きだしてきたようだ。 「リンちゃん、レンくん、どうしたの?!」 ミク姉が血相を変えて部屋に入ってくる。続いてメイコ姉、ルカさん、バカイトも様子を見に来た。 「れれれんがうわっうわき」 「はあ?浮気?」 「違うってば!今、もう1人違うリンと見たことない男が…!」 「はあ?」 そう言うと誰も信じてくれていないようで、「誰もいないんだけど?」と呆れられた。そんな筈は…!さっきまでここに…って、あれ?!いない!俺の下にいた筈の成長したリンも、あの男も…! 「まあ、差し詰め寝ぼけてただけの話でしょ?折角早起きしたんだから、また二度寝するんじゃないわよ。朝食にはちゃんと降りてきなさいよ。」 メイコ姉がそう言い残し部屋を後にすると、それに付いて他の皆もぞろぞろと部屋を出て行った。…本当だって!リンは相変わらず目の前で俺を睨んでくるし、俺は俺で頭のおかしい子認定されてしまうし、最悪だ!ああ!あいつら、どこに行きやがった! 『どう?皆行った?』 『ああ、いない』 部屋の奥の方で声がしたので振り向くと、ベッドの淵から顔を覗かせている問題の2人の姿。 「お前らっ…!」 『レン君っ、あんまり大きい声出さないでよっ!折角撒いたのに皆また来ちゃうじゃない!』 成長したリンが"しっ"と人差し指を口に当てた。やっぱりちょっと成長したからっていい気に…って…ん?リンは俺の目の前にいるやつだよな?じゃあこの『リン』は誰なんだ? 俺の正式な片割れであるリンは状況がイマイチ掴めていないようで、頭の上には?が散りばめられている。この2人を確認した途端、一瞬にして先程まで怒っていたことは忘れてしまったようだ。 「…で、リン。さっきの叫び声、どうしたの?」 俺も状況を掴めていないので確認の意を込めて目の前できょとんといているリンに尋ねた。するとリンは部屋に入ってきた時言おうとしていたことを思い出したようで、「そう、それ!」と俺に指をさしてきた。 「あのね、起きたらね、ベッドの中に…そいつがいたの!」 "そいつ"という言葉を発すると同時にビシっと、指をさす方向を俺の横へずらす。その先にいるのは…リンを追いかけてきた金髪長身の男。 「こいつがいたの?」 「うん、そう!布団の中にいてね、目覚ましたら抱きつかれてたの!」 なななな、なんだと!?俺のリンに抱きつくなんて!!そいつ…許さんっ!俺より背が高いからってどいつもこいつも調子に乗りやがって! 振り向き2人を睨みつける。すると2人は手を上げて「ちょっと待て、話し合おう」と言ってきた。問答無用!2人に近づき、とりあえず男の方の胸倉を掴む。 『ちょ、待てってば!自分を痛めつけて楽しいか?!』 「何言ってんの?自分って、俺はここにいるんですけど」 『違うって!お前は俺で、俺はお前なんだって!』 「余計わからねーよ!」 『ほら、お前リンはリンだって認めただろ?!俺もそう!俺はレンなんだってば!』 …は?俺? ぱっと手を離すと、目の前の男は噎せ返ったようでゴホゴホと息を整える。涙目になりながらも話を続けた。 『俺らはお前達2人の4年後…18歳の姿なんだよ』 「はあ。本当にそうだとしても、なんでこんなところに?」 『たまたまマスターのファイルを漁ってたら履歴があってよ、それで遊んでたら過去に行ける方法を見つけて、 適当に時間を選んでここに来たってわけ』 ほうほう。なるほど、わからん。 俺は納得いかないがリンはその話に興味深々なようだ。 「じゃあ2人はここにいるレンとリン自身こと?!」 『そういうこと♪』 リンはスゴーイ!と目を輝かせた。 「じゃあリンはこれからおっぱいが大きくなっていくんだね!」 『うん、あっという間よ〜!レン君もどんどん上達していくからね〜。楽しみにしててね☆』 「おおー!」 女子組は楽しそうに会話をしている。俺も…将来の俺の姿をまじまじと見つめる。さっきまでは変な男扱いしていたけど、こうやって見ると中々イケてね?背高いし、顔整ってるし。声も低くなっててセクシーさアップ?これならショタ扱いされなくて済むよな。うん。 『あの、レン君や』 「なに?」 『自分の姿みて"なかなかイケてる"とか思ったでしょ?』 「んな?!な、なんでそれを…!」 『そりゃ、君のとっては現在かもしれないけど、俺にとっては過去の話だからね〜』 そういうと『まあ、ショタ扱いはされなくなったかな』と苦笑した。しかしその後に遠い目をしながら『ロリコン扱いされるようになるけどな』と付け加えられた。…き、聞かなきゃよかった。 『しっかし、今も昔もレンは相変わらず盛ってんのね〜』 「『え』」 『レンはレンでリンちゃんに抱きついてお触りしてたみたいだし、レン君は襲ってくるし』 「やっぱり!レンの浮気者!」 「ちょっと待てリン!こいつもリンなんだから浮気ではないだろ!」 「でもリンじゃないし、リンだけど!ってあれ?判んなくなってきたよ!どうしよう?!」 「知るかっ!」 『リンちゃん。その件はごめんね?この時間軸に来た時にちょっとからかってやろうと思って、私がリンちゃんになり済ましてたの。だから許してあげて?』 見るに見兼ねてか成長したリンが俺に助け船をだす。リンは「私がそういうなら」と、納得してくれたようだ。…た、助かった。 しかしこいつらの悪戯のせいで本当にヒドイ目にあった。リンには平手打ちされるし、家族には白い目で見られるし、散々だ。まあ、そのことは成長したリンの姿に免じて許してやろう。(柔らかかったし)正直これからが楽しみで仕方がないです。 寝起きの件も落ち着き、4年後の事について色々会話をしていると下の階から「リンちゃーん!レンくーん!ご飯だよー!」と叫ぶミク姉の声がした。 『そっか、もうそんな時間か』 『そろそろ帰らねぇとな』 「えー!?いっちゃうのー?!」 リンが残念そうな声を出すと、4年後の俺が『ごめんなー』と言ってリンの頭に手を乗せた。 『私たちもこれから収録があるんだぁ。マスター心配させちゃまずいし…』 「そっかー。なら仕方ないねぇー」 『うん。ごめんね?また遊びに来るからさ、…ね?』 「うん!約束ね!」 ほんの数十分一緒に過ごしただけなのにリンは未来の自分達が相当気に入ったようだ。嬉しそうに2人を見ている。 『じゃあ、俺達はもう行くから』 『またね、2人とも』 「うん!」 「あっ、」 『どうしたの?レン君』 「…また、来いよな?」 『うん!』 『おう、必ず…な?』 そう言い残すと2人は窓から飛び降りた。危なっと思い窓の外を見たが、どこにも彼らの姿は見当たらなかった。 「いっちゃったねー」 「ったく、どういう仕組みなんだ、あれ」 「うーん?…って、いけない!朝ごはん食べに行こう!下げられちゃうよ!」 「…そうだな、食いにいくか。」 とたとたと走っていくリンの後ろ姿に付いて歩く。 今日は朝から本当に散々な目にあった。 だけどそれ以上に、嬉しい事実も判明した。未来の自分の身長やスタイル、声など、コンプレックスが解消された事は勿論だが、それ以上に嬉しかったことは4年後もリンと一緒にいたという事実。 ついつい綻んでしまいそうになる顔をリンにバレないように必死で隠した。 ハロー*ハロー こちら14歳の鏡音。 未来の君に この声は届いていますか? + + + ハロー*ハロー(はろー×はろー) リクエスト「成長レンリンと14歳レンリンのからみ」 妄想日和 (にさ) http://m-pe.tv/u/?mno2 [*前へ][次へ#] |