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はじめての(前編)

後半描写注意。過去話。






『仲が良いわね』なんて聞き飽きた。
俺たちは双子で、生まれたときから一緒で、仲が良いのなんて当たり前のこと。


いつからこんな関係になったんだっけ。
ぼんやりとそんなことを思った。

隣では生まれたままの姿で気持ちよさそうに眠る片割れ。愛くるしい彼女の寝顔を眺めた後、視線を天井に移す。


いつから…、いつから、どういった経緯でこんな事をするようになったのか。
思い返してみれば2年程前に遡る。



 * * *



小学生というのは、どうしてこんなにも性に対して敏感に反応するのだろうか。
レンにはさっぱり理解が出来なかった。


「いいよなー、鏡音は」


下校中、一緒にいた友達が突然レンを羨ましいという。


「は?何が?」


何を言いたいんだ、こいつは。
レンは怪訝そうに眉をしかめた。


「お前の姉ちゃん」

「リン?」

「そうそう、リンちゃん」


直接話したこともない癖に馴れ馴れしく名前で呼ぶ友人に少し苛立ちを覚えたが、ぐっと堪えて


「リンがどうかしたの?」


と聞いた。
すると友人は


「すっげー可愛いよな!」


と言う。

だから何だというのだ。
リンが可愛いのは誰が見ても一目瞭然。
姉というフィルターを外してみても判りきったことで、可愛くないという奴がいたならば、そいつの目は節穴だ。
そんな子と一緒にいれて羨ましい、そう言いたいらしい友人の心中を察して


「でも家じゃおっかないぜ?」


と答えてやる。
すると友人はケタケタ笑いながらうっそだぁ〜と言った。


「双子ってなると部屋とかもやっぱり一緒なわけ?」


着替えは?風呂は?
答える間もなく次々に質問が重ねられてゆく。

こいつはどうやら俺の私生活に興味津々なようだ。本当のことを話すと厄介なことになるだろう。
そう察したレンは、別々に決まってんじゃん、と答えた。


「だよな〜。いくら双子だからって全部一緒にしてたらヤバいって」


残念がっているのか、安心しているのか、どちらともつかない面持ちで友人は笑う。
レンも「だろ?」と言って笑い返したが、本当は嘘。実際は部屋も一緒だし、着替えだって当然同じ部屋で行う。風呂だって大体一緒に入る。

この事実を知ったら周りはどんな反応をするのだろうか。
きっと目の前にいる友人は、レンに対する態度やリンに対する目は変わる。俺は兎も角、リンをいやらしい目で見るのは許せない。
レンは自分が思っているよりも、独占欲が強い方らしい。


「おい、どうしたんだよ」


友人の一言で、はっと我に帰る。
前に言葉を交わしてから数秒程しか経っていなかったが、レンの表情は明るいものから怖いものへと変化していた。


「…っああ、わりっ!考えごとしてた!」

「よかった、怒らせたのかと思った」


まったくその通りです。
本心が喉まで出掛かったが唾と一緒に飲み込み堪える。

(お前らなんかに、俺の大事なリンを渡してたまるかよ。)

そう心の中で悪態をつきながら、帰路の分岐点で友人と別れを告げる。


当時の俺とリンは、行為はまだしも、お互いに恋していたことは確実で。
世間では許されないことを理解しながらも、俺たちは一緒にいることを望み続けた。



 * * *



「ただいま」


そう言ってガラリと家の戸を開けると、リンが元気よく出迎えてくれた。
今日は俺の帰りが遅くなりそうだったので、リンには先に帰って貰っていたのだ。


「おかえり!」


リンは花のように、ぱぁっと笑うと俺に抱きついてくる。
意外と早かったね、なんて言って俺の肩へゴロゴロと顔をすり付けてくる愛しい片割れ。
甘え方が猫みたいで可愛い。
俺はそんな彼女の頭を撫でながら、もう一度耳元で「ただいま」と囁いた。


「おや、中々早かったではないか」


俺ら2人の空間が、男性特有の低い声によって終了を告げる。


「…神威」


振り返り、誰かを確認する。
住み込みで働いている神威の姿であった。

俺らの両親は半年前に他界してしまったため、鏡音一家の当主は俺とリンに委ねられたが、いきなり12歳の子供に組を動かすことなんかできやしない。
そこで昔から父親の秘書をしていた神威に仕事を任せることになった。
しかし会議などには俺らが出席するし、最終的な決断も全部俺達。
神威は俺らの裏でせっせと働いて貰う事になったが、彼は嫌な顔一つせず快く引き受けてくれた。
裏切られたらおしまいだが、彼はそんなことをしない。
神威の口から直接聞いたわけではないが、そう思えてしまうような何かが彼にはある。
俺らが成人するまで、神威には悪いけど頑張って貰うつもりだ。


「うん、思ったより早く終わったんだ」

「そうかそうか。しかしレン殿も疲れたであろう。ささ、早く中へ」


ずっと玄関に立ちっぱなしだった俺を気遣って部屋へと促される。
俺は、うん、と短く返事をすると神威の言うとおり自室に向かった。
リンもニコニコしながら俺の後をついてきた。



 * * *



「今日はね、二時間目にね!」


リンが今日あったことを一所懸命に話してくれる。俺はコクコクと頷きながらリンの話に耳を傾けた。
お互いグループが出来てからと言うもの、一緒にいられる機会がめっきり減ったため、こうして自室に戻ってから1日の報告をするようになった。



「…これでリンの報告はおしまい!次はレンの番だよ!」


キラキラした瞳でこちらを見つめてくる。
まるで腹を空かせた子犬のようだ。
ちょっと意地悪したくなる気持ちをぐっ、と堪えて今日あったことを事細かに話す。
授業であてられたこと、ムカつく教師の話、昼休みにあったこと、帰りの会の時にあった面白い話、それから…帰りの友人との会話。


「一緒に風呂とか入るのかって聞かれた」

「うわー」

「リンをイヤらしい目で見てるんだぜっ」


許せんっ!そう続けて顔を真っ赤にした。
するとリンは、はっと思い出したように


「リンも聞かれた!」


と言った。
…え。…嘘だろ?


「は?誰に?!」


まさか男じゃないだろうな?!
男だったらセクハラで訴えてやる!
ドキドキしながらリンの次の言葉を待つ。


「あのね」


―――ちゃん。
リンとよくいる女の子の名前が出される。
女の子でよかった!


「レン君って起きるとき、やっぱりちょっとタってるの?とか聞かれたけど」


たつって何?
リンはキョトンとした目で首を傾げた。
リンの目も相当大きいが、俺の目は今それ以上に見開かれていると思う。
彼女は、意味は判らないものの俺の深めの事情について聞かれたのは理解しているようだった。


「…で、なんて答えたの?」

「しらなぁい、って言ったよ」

「それから?」

「おな?なんだっけ?外人の名前みたいな奴。見たことあるかって」


オナニーですね。わかります。


「それで?」

「よくわかんなかったから、ないって言っといた。」


…よかった。

っていうか、女子こええええぇぇぇぇ!
男子なんて好きな奴とかでも聞くに聞けないのに、そんな立ち入った話まで軽々とするとは…!しかも俺、餌?!
そんな環境にいながら知らないリンもリンだが、普通こんな時期からソウイウ話をするものなのだろうか?

うーん、と唸りながら腕を組む。
どうしたものか、考えているとリンは「これってどういう意味?」としつこく尋ねてくる。
リンにはちゃんと教えておくべきなのだろうか、悩みに悩んだ末、知っておいた方がいいだろうという結論に至った。


「ねぇリン。ここ、知ってるよね?」


そっとリンの右手首を掴み俺の股間に寄せる。指先が少し触れたのが判った。


「たつっていうのは、ここのこと」

「えっ?」


一緒に風呂には入るものの、リンにはそんな形を見せたことがない。
今まではそんな意識全くしていなかったから、極端に反応することはなかった。
もう一緒に風呂なんて無理だな。
絶対意識してしまうから。


「ここがかたくなってくると、いつもの倍以上の大きさになって、上を向くんだ」


それが"たつ"ってこと、と付け加えた。
リンは信じられない、といった目でこちらを見てくる。


「うっそだぁ〜」


案の定、信じていないようだ。
見せた方が早いんだけど…


「見せてもリン、絶対退くから」


そういうとリンは首をぶんぶんと横に振って、


「レンのこと、ちゃんと知りたい!」


と答えた。
こうなると、リンは聞かなくなる。
そう俺の経験が訴えてくる。

もし、このまま…?なんて淡い期待も抱いたが、それと同じくらい本当にいいのか?という葛藤も生まれてくる。
相手は双子の姉?近親相姦?
今後の展開を色々考えたが、どれも12歳の性への興味には勝てなかった。

俺は自分のズボンをパンツと一緒に引き下げる。すると興奮で半勃ちした自身が現れた。


「ね、ちょっと形が違うでしょ」

「…うん」


リンはいつも見ているはずの俺のソレを、珍しい物を見るかのようにじっと見る。
ちょっと…いや、凄く恥ずかしい。


「ねえ、触ってみてもいい?」


かたいか確かめたいの。
リンが上目遣いで尋ねてくる。嫌と言えるはずもなく、俺は首を縦に振った。

指が自身に触れる。
するとリンは「本当だ、かたい」と感想を漏らした。


「握ってみるとよく判るよ」


他人に触れられる快感に我慢できず、更なる要求をしてみる。
リンはうんと答えて優しく握ってくれた。


「っは…!」

「どうしたの?!痛い?」


思わず漏れてしまった吐息に、リンは心配そうな顔をして不安を訴えてくる。


「き、気持ちよくて」


俺は素直な今の感情を言葉で表す。
するとリンは本当に?と疑ってきた。


「本当に。だからもっと強く握って?」


そういうとリンは言われたとおりに少し強めに握る。今までにない快感が全身に走る。もっとこの感覚を味わいたい、そう思うと俺の行動は段々とエスカレートゆく。


「そのまま…そのまま上下に擦って」

「…こう?」


顔を赤らめながらも丁寧に言うとおりにしてくれる。

いつの間にか、俺のモノは硬く・大きな物へと変化していた。リンもそれに気付き、より一層顔を赤らめたが行為を続けてくれた。


「くわえられる?」


そう尋ねると「え」と言って顔を上げ、初めて行為を中断させる。

―――イヤ?
そう言って首を傾げると、リンは少し躊躇いながらも静かに俺の股間に顔を寄せた。







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