対体 0104 「…おお。でっかい」 「まぁ名前の家だって充分すぎる大きさだけどさぁ、ししっ…」 私は小さな荷物を片手に提げて、ヘリから降りる。しかしなんでだ。なんでヘリが無音なんだ。 さっきのう゛ぉ゛ぉいの人は、とりあえずボスに顔見せなと言った。ベルが私を振り向く。 「クソボスんとこいくぞ」 「クソって…いくら半角カナでもマズいんじゃ」 「いいのいいの、だって俺王子だもん」 微妙に足取り軽くベルは歩いていく。ボスって人、一体どんな人なんだろう。 「なんでそんな足取り軽いの」 「つぇー遊び相手が増えたから。…強さによっちゃー“遊び相手ができたから”かなっ」 「つぇーが消えたね」 ベルはあからさまに不満を顔に出した。 「増えた、ができた、に変わったとこが大切。俺が見るに、」 名前は奴らよりさらにつぇーよ、と呟いた。みんなの強さは知らないけど、殺し屋より強いって自信は…ない。ないない。 そう悶々としていると、突き当たりの大きな扉が私の目の前に現れた。…うん、ボス居そうな雰囲気漂ってます。 「ボス入るよ」 「失礼しますー」 うっはー。机に足乗せちゃってるよ、しかも目つき悪っ!羽ついてるし謎っ! 私の、ボスの第一印象はそれだ。 「名前は」 「名前」 ボスの低い声で若干尋問風に始まった会話。私はとっさに名乗る。 「名字」 「名乗らせんな…っとごめんなさい名乗らせないで下さい」 「…はっ!」 私は一族が嫌いだから、早く忘れたい。自分の名字。早く殺してよねー、とベルをちらと見る。早くもだるさ全開で腕組み。 「武器は」 「自分の腕と脚」 「…はっ!それは武器のうちに入らん」 「じゃあ…ない」 ドカスが言ってた通りだなぁ…とボスが言うと、ベルがあからさまに不機嫌。ドカスって誰だ。ベルか。 「ボスもう行っていいかな」 「ん、行けドカス共」 うわ、私までドカスになったよ。 廊下に出ると、ベルはよかったな名前、と笑った。ここに入った奴らはみんなクソボスにドカスっていわれんだ。認められた証拠だって訳。 ベルはまた軽い足どりで廊下を進む。次はどこに行くんだ? 時計を見たら、もう3時を過ぎていた。 [*前へ][次へ#] |