君が笑うから(女主×仁王)
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彼が笑うと幸せな気持ちになる、暖かい気持ちになれる、そしてそれ以上に私を支配するこの感情は、なぁに?

   ◇ ◇ ◇

「つまりお前は、雅治を見てると興奮して襲い掛かりたい衝動を抑えられないと、そう言うことかな」
「的確すぎて私もろ変質者じゃないか柳くん酷い」
「的確ならば問題ない。それで、お前は俺にそんな受け入れ難い性癖を打ち明けて一体どうしたいんだ」
「いや、柳くんなら何かいい方法知らないかなって」
「衝動を抑えるためのか」
「いや、仁王を押し倒す一番手っ取り早い方法…、待ってごめん嘘です見捨てないで」

呆れ顔(目開いてないけど)で溜め息を漏らす柳くんを必死で引き留め、再び机に向きなおさせる。
部活が終わりテニス部の皆が帰宅していたのを見計らって何とか柳くんを捕まえたは良いけど(だって彼しか真面目に聞いてくれそうになかった)頼みの綱の彼にまで見放されたら、私はどうしたらいいのか解らない。そのうちきっと計画なしに襲い掛かるに決まってる。私は変質者だけど犯罪者になりたいわけじゃないんだ。

「…しょうがない。ではまず、衝動が起こる原因を調べよう」
「え…協力してくれるの?」
「無理矢理引っ張ってきておいて何を今更…。雅治は大事な立海のレギュラーだ、変な事をされて支障が出るのは避けたい」
「ありがとう柳くん!信じてた!」
「こればかりは信じられたくはなかったが…」

何処から取り出したのか、彼はB4サイズのシンプルなノートとシャーペンを取り出して何かを調べ始めた。

「あ、柳ノートだ、見せて見せて」
「極秘だ。…俺の調べが間違っていなければ、雅治とお前は付き合っている筈だが」
「うん、付き合ってるよ」
「取り敢えず見知らぬ他人に犯されると言うリスクは回避できる。次が大事だ、お前は雅治のどんな姿を見て興奮する」
「えー?」

考えてみた。仁王の姿、仁王の姿か…。テニスをしてるときの滴る汗が生み出すあの色気は堪らない、何度意識を失ったことか(その時に恥態に走らなかった自分は偉い)。それに二人きりの時に見せるあの無防備な笑顔とか寝顔とか最高だよね!犯罪だよね!そりゃ誰だって犯罪者になっちゃいますよあの仁王を前にしたら!私以外の奴が襲ったらタダじゃ済まないけどね!

「鼻血を出しながら怒り狂うのは止めろ、意味が解らない」
「解らなくて良いよ、寧ろ解るな」
「言われなくとも。ほら、取り敢えずその鼻血をなんとかしろ。上を向け」
「ありがと…」

柳くんが(引き気味に)ティッシュで鼻を押さえてくれた。

「…名前、参謀。何して…」
「雅治」
「えッ!?」

教室の入り口には呆然と私たちを見詰める愛しい愛しい仁王の姿。あ、止めてせっかく止まり掛けてた鼻血がまた流れそう。ってそんなこと言ってる場合じゃない、気がする。
柳くんが私の顔に手を添えて、それを私が見上げている体制。知らない人が見たら誤解しそうなシチュエーションだよね、そりゃね。いくら相手が全く眼中外な柳くんとはいえね。

「…ち、違うの仁王、ちょっと彼に相談事があって」
「彼氏の俺より、名前は参謀の方が良いんじゃな」
「それは…それはないよっ!」

全力で否定したら仁王が目を見開いた。悲しい顔なんてしないでよ、仁王にはいつも笑っていて欲しいのに。

「仁王が可愛いからいけないんじゃないかっ!」
「お、俺が、可愛い…?」
「そんなだから、私がこんな変質者になっちゃったんだよぉ…!」
「全く話が見えんぜよ…名前、取り敢えず落ち着きんしゃい」

取り乱す私の身体を引き寄せて頭を撫でてくれる。彼といると幸せな気持ちになる、暖かい気持ちになれる。だから好き。

「…ムラムラする」
「は?」

そしてそれ以上に私を支配するこの感情に、気付いちゃった。

「名前、今なんて――んっ…」

背伸びしてキス。完璧に油断してた仁王が慌てて身を引こうとしたけど、そうはさせない。いつもと違う濃厚な口付けを繰り返してたら、仁王がとろんと目を細めた。身体の奥がきゅんってなる、今なら私変質者でも犯罪者でも良いから、この可愛い仁王が欲しくてしょうがない。

「ん、んぅっ…ふ…ちゅ…」
「ぷはっ。ふふ、美味しい…もっと頂戴」

私のお腹に当たってる仁王の分身を布越しに撫でると、ビクビクと身体が震えた。彼もその気みたいだ、それは何より。

「あぅ、ん…やめ、参謀が見とるじゃろ…っ」
「あれ、まだいたの柳くん。仁王の可愛い恥態のデータはとらせないわよ」
「恥態っ!?」

自分の身にこれから起こる事を察した仁王が慌てたけど、分身を指先で円を描きながら刺激し胸の突起に吸い付いたら、気持ち良さそうに甘い吐息が漏れた。

「雅治も満足しているようだし、お前の性癖は直さなくても良さそうだ」
「んッんぅ…あ、何の話…っ」

直さなくても良いのか、そうか。やっぱり私は変質者の運命なのか。でも仁王が喜んでくれるなら変質者でも良いや。なんて。

「仁王が私の前で可愛く笑うからいけないんだよ、ムラムラするの」
「それなら…お前さんだって、その笑み止めんしゃい…。痺れるじゃろ…っ」

どんな笑みかな、自分じゃ解らないけど、仁王が喜んでるみたいだからお望み通りこのままの私でいてあげようかな!


呼吸様へ提出。


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