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そして今彼女は何をしているかというと、仕事をしている。
仕事とはつまり借金の取り立てである。
今日のターゲットは随分な悪党らしく、リストには沢山の数字が所狭しとひしめいている。

ターゲットの名前は

「(クロス・マリアン・・・)」


特徴は燃えるような赤い髪に顔の半分を覆い隠した仮面。
補足としては他社にも多額の借金をしているということ。


とんだろくでなし、である。


かれこれ数時間街を歩いてまわっているがそれらしい赤毛の男は見あたらない。

「(本当にここにいるのかなぁ・・・)」

半ば諦めかけていたその時、切望していたそれらしい真っ赤な男が煉瓦造りの酒屋の角を曲がっていくのが見えた。

咄嗟に追いかけるメロ。

「ちょっ・・・!!そこの貴方!!待って下さい!!」


そんな必死の声も虚しく彼ほどんどん進んでいってしまった。


人混みを抜け、やっとの思いで酒屋の角を曲がると盛大に何かにぶつかった。


「いだっ!!」

鼻折れた!?と錯覚するかのような激痛に自然涙が込み上げてくる。
何にぶつかったのかと不思議に思って顔を上げてみるとそこにいたのは仮面の男。

どうやら声は届いていたらしい。 

「呼び止められた気がしたんだが、お前か?」
低い声でそう問うた。

メロはその威圧感に押されて答えることが出来ない。

「おい」

「・・・」

「・・・」

「・・・」

「・・・」

「・・・」

「・・・おい、聞いてるのか?」

「!は、はい!!!!」

痺れを切らした男は先程より少し強めに声を出した。
結果それによって漸く我にかえったメロが情けない声をあげた。

「えっと、その・・・貴方がクロス・マリアンさんですか・・・?」
男装がバレないように少し低めの声で聞く。


「ああ。」


どうやら本物らしい。

「えっと、ロナウド社の者ですはっきり言えば借金返済の催促をしにきました今すぐお金返して下さい返済期間はとっくに過ぎています。」


一気に捲し立てた。
一刻も早くこの男から離れたかったから。
しかし




「さぁ・・・知らねェな」

白を切ったのだ。
赤毛の仮面男、クロスは頭を無造作にガシガシと掻きながら飄々と言ってのけた。


「知らないって・・・」


メロは愕然とした。
どうやらあの額は伊達じゃないらしい。
とてもじゃないが一筋縄ではいかなそうだ。

しかしここで諦めるわけにはいかないのだ。
何故なら彼女には守るべく家族がいるからだ。

(負けてたまるか・・・!!!)




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あきゅろす。
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