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ここは地獄なのではないかと錯覚した。
立ち上る煙、見渡す限りの火の海、充満した異臭。
さっきまでは盛んに悲鳴が聞こえてきていたのに今では人の気配さえ感じられない。
叫び声をあげる人さえいなくなったらしい。
酷い臭いと火の粉混じりの煙に耐えきれず、メロは袖口で口と鼻を押さえた。
気休めだ。


どうしてこんなところにあの二人はいたのだろうか。

いや、こんなところだからこそ彼らはいるのかもしれない。

もともと不自然な二人だった。
アレンはクロスを師匠と呼び、クロスはアレンを弟子(多くの場合馬鹿がつく)と呼んでいた。
師弟関係であることはすぐにわかったがクロスが何の師匠でアレンが何の弟子なのかは結局今でもわかりかねている。
そのことを二人に問い掛けたことは、ない。
なんとなく聞けなかったし、聞いたとしてもお前には関係ないだろうと突っぱねられるのが怖かったからかもしれない。

実際彼らとは脆い関係であることは否定できない。
だから無意識の内にその事実が彼らの口から告げられるのを恐れていたのだと思う。

なんてことだ。
自分は借金取りにきているだけなのに。
それだけでは嫌だと自分自身で思ってしまっている。



メロの目は二人を探して忙しく動いた。
しかし視界は煙で遮られていてそれは上手くいかない。
少ない視覚情報をもとに先ほどより幾分かゆっくりと歩きながら周囲を見回す。



しかしどうやらあちらが先にメロを見つけてしまったらしい。




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あきゅろす。
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