６
｢また会ったな。毎回毎回仕事熱心なこった。｣
｢あなたがお金を返してくれない限り、僕の仕事に終わりはありませんから。｣
そりゃあ大変だな。骨が折れる。
クク、と喉で笑って言うクロス。
まるで自分には関係ない、第三者のような物言いにメロは流石に頭に来た。
しかしここで怒りに身を任せれば冷静さを失い彼の思うつぼになってしまう。
ぐっと奥歯を噛んで耐えた。
｢そう思っているなら行動にしてください。｣
｢生憎、無い袖は振れないもんでな。｣
軽く返して酒を煽った。
｢･･･じゃあそのお酒は何ですか。｣
｢こいつは店主のサービスだ。｣
なぁ、といってカウンター内にいた店主にニヤリと笑いかけると
｢あ･･･あぁ。そうだった･･･ハズだ、うん･･･。｣
となんとも頼りない答えが返ってきた。
(脅してる…？)
メロは今の状況も忘れて顔色の悪い店主を気の毒に思った。
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