広がる何かに気付けない 「こいつらが言いたいのは最近できた静雄の友達っつーのはあんたのことかってことだ」 「えー!?違うよ!静ちゃんとイチャイチャでラブラブなのか聞いてるんだよ!」 「ちょ、狩沢さん!なんでもかんでもBLにしちゃ駄目ッスよ!!だいたい男同士にどうして萌えを感じるのか理解出来ないッス。それよりもこの前新巻が発売したうんたらかんたら…」 おうおう… 話が脱線しまくってもうついていけないよ… 結局あれか? 俺がその、しずお?しずちゃん?の友達かどうかって話なんだろ? それはわかったけど今度はしずちゃんとやらがわからない。 あれか。 お風呂大好きで四六時中入浴してるあの子か。 丁度良い時にのび太くるよな、あれ。 「いや…あんたが考えてる奴ではない。確実に。」 「…あれ?俺の思考だだ漏れ?」 じゃあ誰だしずちゃん。 しずお… しずお… 静お? …静雄? 「…静雄?」 「そうッス!」 なんだバーテンさんか! 静雄だから静ちゃんね! なるほど…っつーか似合わないな。 今度来たとき呼んでみよっかな… …やめとこ 殺されそう…。 「つまり、俺と平和島静雄が友達かどうかってことですか?」 「そういうことだ。」 「友達っていうか…うーん」 「違うの?」 「いや、顔見知り程度じゃないですかね。店で会ったら世間話する程度だし、それに向こうは俺の名前も知らないと思うし…」 「「「七瀬」」」 「は」 3人がいきなり俺の名前を発した。 なに。 なんで? ネームプレート忘れてきたのになんで知ってるの。 「静雄さんから聞いたッスよ」 「最近七瀬って人とよく話すって!」 「うそ」 「本当だ」 帽子の人の表情を見る限りマジっぽいぞ。 あれ? なんで平和島静雄は俺の名前を知ってるんだろう。 あ、ネームプレートか。 「…まあいい。あんたが静雄と仲良くしようがそれはあんたの自由だからな」 「そうそう!七瀬君が静ちゃんとラブラブしようがそれは」 「狩沢さんの妄想ッスね」 そうですね、と心の中で呟いてみる。 かりさわさんという人はどうやら今流行りの腐敗した女性らしい。 人の趣味をとやかく言うつもりはないが俺とバーテンさんが、みたいなのは勘弁してほしい。 「友達と思ってもらえてるなら俺は嬉しいですよ」 「!そうか。」 「じゃあじゃあ!今後新展開も期待、」 「「出来ない(ッス)」」 きっぱりと否定。 一緒になって言ってくれた糸目の人がなんとなく心強い。 ものすごく残念そうなかりさわさんは見なかったことにする。 そして未だに終わらない会計も見なかったことにした。 もうこれタダでいいです (ああ、そうだ。…言いにくいんだが、) (?) (あんたに興味を持っちまった奴がいてな、) (興味…?平和島静雄の友達だから?) (おそらくは。…そいつは、ちょっと、いや、かなり厄介な奴でな) (え) (いつかあんたに会いに来るかもしれねえ) (フラグが立った) _ [*前へ][次へ#] |