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どうしてこうなる

で、今に至るわけだ。

バーテンさんとはあの日から会ってない。
ほっとするような、逆に怖いようなそんな複雑な気分だ。

謝るべきだ。
うん。
けど謝って済むかわからない。
俺もあの時の男たちと同じ様に宙を舞うのだろうか。
嗚呼泣きたい。


と、入店音。
さあ挨拶挨拶。


「いらっしゃいませ、ぇ、ああああああああああ!!!?」


「…その挨拶流行ってるのか?」


来たあああああ!!
考えてたら来たあああああ!!
今度は冷静に接客しよう!!

「…」


「…」



怪しくならない程度にバーテンさんの動向を見守る。
やっぱり手に取るのは缶コーヒーとガム。
そしてそのまま彼はレジに向かって来た。


「…」


「…」


ピッピッとバーコードを読み込む音と値段を読み上げる俺の声だけが店内に響く。

ふと思う。
謝るなら今がチャンスだ。
ちらりとカウンター越しに彼の表情を伺う。
しかし目は伏せられていてどんな感情が渦巻いているのかわからない。
バーコードみたいにピッと読み取れれば簡単だというのに。


「あの、」


「…?なんですか?」


意を決して口を開くときょとんとした表情をされた。
あれ?
怖くないかも。


「…この前は、その、」


「…この前…ああ…。」

ちょっと考える素振りを見せるバーテンさん。


「俺、ちょっと…というかかなり気が動転してて」


「それが言い訳にならないことくらいわかってますけど、でも、あの、いきなり怒鳴っちゃって」


「すみませんでした」


今回は100パー俺が悪い。
頭を下げて素直に謝る。
とにかく誠意が伝わるように。

まあ許してくれるかわからないけど。
許すどころか怒りを思い出して吹っ飛ばされるかもしれない。
緊張しながら相手の言葉を待ち、おそるおそる伺う。


「…別に気にしてませんよ」


「こっちこそ怖がらせたみたいで」


「すみませんでした」


「!」

…いいひと!
バーテンさんいいひとだ!!
怖いとか言ってごめんなさい!!
でも悪いのは俺なんだ!


「何言ってるんですか!バーテンさんは全然わるくないですよ!」


「(バーテンさん!?)いや、原因は俺ですし、」


「違います!原因はあの絡んでた男たちですよ!!あなたは悪くありません!!」


「いや、でも」


「とにかく今回悪かったのは俺です!あなたは謝らないでください!」


「…いや、やっぱり」


「あーもー悪くないって言ってるじゃねーですか!人が素直に謝ってるんだからおとなしく謝られてろよおおおお!!」


「(ブチ)それが謝ってる人間の態度か!!俺も悪かったっつってんだろうがあああああ!!」


「うるせええええ!!黙って俺の謝罪聞いてろおおおお!!」


「お前がうるせええええ!!俺の謝罪も聞けええええええ!!」






やっぱりこうなる。






(そしてエンドレス)

(ちょ、七瀬くん!?何してんの!?)
(あ、店長!なんか素直にならない客が!!)
(はあ!?)
(おい、店長!店員にどんな教育してんだよ!!)
(ええ!?(というか平和島!?))
(ちょっと店長!)
(おい、店長!)

(誰か助けて!!)





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あきゅろす。
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