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所有物のしるし


「えい」


「痛っ」


つん、と前髪を引っ張られる感覚に顔をしかめる。
髪抜けたくないかこれ。
は?と思って戻っていったなくらさんの手を見るとそこには今となっては見慣れたヘアピン。
ふろむ平和島。


「なんかマーキングっぽくて気にくわないんだよね」


「ええええ…?」


「うーんやっぱり気に入ったものには名前書いとくべきだよね」


楽しそうに唸る男に俺は完全に置いてきぼりだ。
とりあえず痛む頭皮を労るためにわしわしと揉んでおく。


「うん。やっぱり今回はインパクト重視でいこう」


なにやら話が纏まった様子。
が、しかし

なんか
嫌な予感


「ちょっとごめんね」


「う、え、!?」


あっという間に距離を詰められて意味の無い単音が漏れる。
気付いたら三日月のようにほそまったなくらさんの目が目の前にあって、そして


「あ、」


ちくり、と首筋と鎖骨の間ら辺に痛みが走った。
次いでねっとりと生暖かくて柔らかい何かがそこを這う。
ぞくりと粟立った肌とひくり、浮いた肩にやっと意識が覚醒した。


「なに…」


「消えかかったらまたつけてあげるね」


「え、え?」


「あ、あと俺奈倉じゃなくて折原臨也だから」


じゃあまたね、といって来た時同様入店音をBGMに去っていったなくら、改めおりはらいざや。
かなり自然に偽名でしたと暴露しやがった。
しかも突っ込む前に颯爽といなくなるし。
何も買ってないじゃん。
何しに来たのほんと。

というかおりはらって






やっぱりかよ。





(…あ、ヘアピンの予備貰わなきゃ)
(怒られるかな…)






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