愛欲円舞曲
クリスマスだし、クリスマスパーティでもしない?と烏哭が誘って来た。
部屋で宿題に追われていた私は厄介払いする様に渋々それを受ければじゃあプレゼントよろしく、つまんなかったらお仕置ねーと妙にいい笑顔を浮かべて颯爽と部屋を出て行った。
「…プレゼント、かぁ」
用意しないと後々煩いし、とも思うしかと言って素直にあげるのも癪だし。
そう思いつつも、クリスマスを迎えた。
「はい、ケーキ」
「…ありがとうございます」
「はい、シャンパン」
「……結構です。」
普通にお酒を薦めてくる烏哭に眉間に皺を寄せて断れば、切り分けてくれたケーキを口に運んだ。
当然の如く不在な両親。
2人だけの空間はいやに居心地悪く、小さく溜め息をついた。
「最近溜め息ばっかりだねぇ」
「幸せが逃げてばかりですからねぇ」
「クス…言うねぇ」
怒らせたかとギクリと顔を上げれば意外にも穏やかに笑う烏哭が目に入り。
なんだか、気恥ずかしくなって視線を逸らした。
「あ、そうだ。これ僕からね。」
「え?」
差し出されたのは可愛らしくラッピングされた袋で。
まさか烏哭からもプレゼントが貰えるなど思わず戸惑いつつも袋を開けた。
「うさぎ…」
「そ。可愛いでしょ?君そっくり」
……なんだか複雑。
にこやかな表情のうさぎのぬいぐるみはいつだったか、烏哭の部屋にあったうさぎのぬいぐるみ(気味が悪くて覚えていた)と瓜二つでお揃いなのだろうかと自然と口許が引きつった。
「…あ、ありがとうございます…」
「いーえ、僕のは?」
「えーと…」
プレゼントを貰えるならもうちょっとマシなものを持ってこればよかったと後悔してももう遅い。
烏哭は私の背中に隠した包みを軽々と持ち上げ、ラッピングされた紐を解いた。
「……これ?」
「ご、ごめんなさい…っ」
包みから顔を現したのは首吊り自殺用にキツく結んだ荒縄。
癪だったから皮肉を込めたつもりだったがどうも裏目に出たらしい。
烏哭は愉快そうにクツクツと喉を鳴らせばキツく結んだ筈の荒縄をいとも簡単に解いてしまった。
血の気がサァ、とひくのが解った。
「……お仕置決定。荒縄で亀甲縛りでもする?」
まぁ、結局いつもと変わりません。
(本当可愛い事するんだから、)
(ひゃ、やめ…!)
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