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囚われラビリンス



昨日から降り続いた雪。
今日は止んだようだ。
窓の外から見える空は澄み渡り、この部屋を照らした。


「ねぇ、外に出てもいい?」


「いいよ?庭までなら。」


「そんなに信用が無いなら、カミサマも行く?」


「……そうだね」


挑発する様に告げれば、カミサマは口許を吊り上げて立ち上がる。
冗談が本当になってしまい私はうんざりしながら部屋を出た。


「寒…」


「わー、寒い!ね、なにがしたいの?寒いじゃん、戻ろ?」


「もうちょっと、」


羽織らされたストールを手繰り寄せながら愚痴を言うカミサマを宥めつつ庭に出る。積もる雪は膝まであって歩き辛かった。


「ねぇ、」


「なに?…っ!」


急に背後から抱き付かれ、無抵抗なまま雪の中になだれ込んだ。
じわじわと、冷気が身体を浸食する。


「カミサマ…?」


雪の中、仰向けになればカミサマが手を握り締める。ちらりと視線をやれば空を凝視しており、私もなぞる様に澄み渡った空を見上げた。


「……寒い」


「当たり前だよ、生きてるんだから」


「…カミサマ中、入ろ。」


「なんで?出たかったんでしょ」


「……風邪、ひいちゃうよ」


握り締める力が強まれば視線がこちらを向く。自然と視線が絡み合えば、カミサマはゾッとする程綺麗な笑みを浮かべた。



「ねぇ、このまま死んじゃおっか。」



それは甘やかな誘惑。
気を抜けば頷いてしまいそうで。
私は、弱々しく首を横に振った。


「つまんないの。じゃ、戻ろっか。折角クリスマスなんだもん、ケーキ食べよ?」


「……うん、」


さして残念そうでもない、感情の籠ってない声で告げるカミサマの差し出された手を握り締めたまま立ち上がった。





雪華心中
(その囁きに頷けたなら、)
(私は貴方と死ねるのですか?)







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