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背徳の嵐


24日、クリスマスイヴ。
何故クリスマスイヴに学校なんて行かねばならないのか。
今年は台風の影響を受け、授業日数やらなんやら大人の事情らしい。
そんな事知ったこっちゃない生徒達はなんだかダルそうだ。
授業は昼まで、午後から終業式。
終業式さえ終われば休み。その終業式までが長い長い道のりである。


「早く終わんないかな…」


今日何度目になるか解らない呟きも、まだ2限目。終るまで後2限もある。
グッタリと机に伏せれば授業中にも関わらず、放送の音がなった。


「えー、3年C組出席番号8番。すぐ理事室に来て、これ理事長命令ね。」


「は?!」


ガタン、と大きな音を立てて立ち上がる。今の放送はどうやっても烏哭の声で、呼び出されたのは紛れも無く私。
苛立ちを露にさせたまま、授業中の教室から飛び出した。


「理事長!一体何事で…?!」


「あはは、やっと来た。クリスマスなんだから真面目に授業受けるの、面倒でしょ?僕とサボろーよ。」


…呆れた。
なんで、こいつはいつもいつもこんなに勝手なんだろう。
部屋を彩るクリスマスツリーを見て
固まる私を烏哭は楽しそうに眺め、私をソファーに座る様に促した。


革張りのソファーに腰を下ろし、無駄に煌めいているクリスマスツリーに目をやっていれば机に置かれるコーヒー。
一言礼を言って口をつければ、烏哭は何故か隣りに座った。


「…前も開いてますけど?」


「君の隣りに座りたいの」


「……そうですか」


コーヒーを机の上に置けば距離を置こうとソファーから腰をあげる。
けれども、すぐに烏哭が腕を掴みソファーへと引き戻され抱き締められた。


「……理事長、離して」


「嫌」


「…子供じゃないんですから…」


「嫌だって言ってるでしょ?」


有無を言わせない声色に諦めて、烏哭の胸に顔を預ける。
再び目に煌めいているクリスマスツリーが目に入り。
自然に繋がれた手を握り返しながら小さく呟いた。


「メリークリスマス、理事長。」




職権乱用クリスマス
(さ、クリスマスパーティでもやる?)
(なにするんですか?)
(サンタプレイとか)
(嫌ですよ………)






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