深淵の瞳
「私、烏哭さんの目好きだな」
突然何を言い出すかと思い半ば呆れた視線を隣りにいるまだあどけない女にへと向ける。
「そう?僕の目、あんまり評判よくないけどねぇ」
深い深い闇の色、
光を拒絶している真っ黒な瞳。
「じゃあ私、はじめて?」
「うん、そうだね」
「やった!!」
何故か喜ぶ君にきょとんと首を傾げて僕の真っ黒な瞳は君を映した。
「烏哭さんのはじめてになれて嬉しいな、」
「ふぅん…よくわからないな」
「解らないよ、だって烏哭さんは自分を大事にしてないもん」
無邪気に笑う君になんだかやられっぱなしの気分になって僕は苦笑した。
こういうのもたまには悪くないけど、
「…じゃあ、目見てて」
「?」
やられっぱなしは性に合わない。
「閉じちゃ駄目だからね」
きょとんとしている君の肩を掴んでキスを落とす。
視線を絡ましたまま、何度も何度も。
とろんとしてくる君の瞳、
僕は僕の瞳より君のその表情の方が好きだな。
「ねぇ、僕にもっと乱れた姿見せて?」
抱き締めて耳元で囁いたら君の身体がビクリと反応した。
僕の瞳が好きなのは
きっと闇に呑まれたいから。
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