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運命の人


鈴虫の声が、聞こえる。
セツナイ、セツナイ…

「ねぇ、好き」

窓から見える月に告げても月は私を見向きもしない。

「…好き、なの…っ」

震える声、
溢れる涙。
拭ってくれる人はもう居ない。

「ねぇ、烏哭さん…っ」

私、大丈夫だよ。
いつも笑えてる。
でもね、
どうしても1人の夜には慣れないの。

「逢いたいよ…」

貴方程好きな人は居ないの。
何故私を置いていったの?
私もそっちに行きたい――

『……おいで』

吹いた風に紛れて。
そんな声が聞こえた気がした。

嗚呼、どんな現実が待っていたって
貴方は私の――





あきゅろす。
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