狂気のおはなし
彼女はよく笑う。
純粋に素直に思った様に。
その笑顔を壊したかった。
ただ、それだけだったのだ。
その笑顔を自分だけのものにできたら。
その笑顔が恐怖に歪む瞬間！
想像しただけで胸がざわめいた。
彼を繋ぎ止めるものが無い今、彼女だけが彼を繋ぎ止め、生かしている。
彼は猪八戒に2度殺され、身体を失っていたにも関わらず、彼女を思い、執着し、意識だけで生きていたのだ。
その恐るべき執着から彼はまた彼の屍の身体を再生させる。
起き上がり最初の時の様に上手く動かない身体で彼は、嗤った。
『もうすぐ、貴方をこの手に…』
執着に囚われた彼が望む彼女が悪夢に落ちるのはもう少し後のこと。
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