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ばんがい【番外】


「おぉ…!」


液晶モニターに表示された赤い文字。


「誰か!教授をお呼びしてくれ」


待ち侘びた報告。



「名無し…無事に作動しているな」


失敗したかに思われた実験。

だが、あの子は消えた。

そして、今、報告が来た。


――実験は成功だったか



送られてきた圧縮データを解凍する。


「すぐにスポンサーも来るそうだ」


後ろから声がかかり、扉が開く。
白髪の目立つ男が入って来た。


「あぁ、教授。見てください。明日のトップニュースは名無しの話題で決定です」



Hello,Hello.
No.17 名無しから報告










名無しの報告書には、この1ヶ月間の出来事と、
出会った人物について、簡潔にまとめられていた。


「【猿飛佐助】、ねぇ…」

「驚きですね、教授。実在したんですよ!私は、真田幸村の本が好きでして猿飛佐助もよく…」


隣で熱心に語りだす若いスタッフに冷たい視線を送る。



――猿飛佐助は実在しない
では、この報告はなんだ?


「君、名無しに指示を出せるかね?」

「あ、はいっ、名無しに伝わるまで時間がかかりますが、出せます」

「では、猿飛佐助について調べさせてくれ」

「分かりました」


若い男はすぐに作業に取り掛かりに行った。







ドアが開く。


「やぁ教授。名無しからの連絡はどうですかな?」


黒いスーツを着た男が入って来た。
この研究所のスポンサーだ。


「素晴らしいですよ」


伊達政宗のデータをモニターに表示させる。


画像もついているが、どうも画質がわるい。


「伊達…奥州か」

「今は、伊達の城に住んでいるとか」

「成る程。上手く溶け込んだな。…ところで」

「なんです?」

「名無しはこのあとどうなる?」


その質問の意味を正確に理解する。


「…この時代には戻れません」


もう、二度と。


「そうか」




「教授!指示、出しおえました」

若いスタッフが戻ってきた。


「ご苦労。あぁ、そうだ。面白い報告があったんでした」

「何かな?」


黒いスーツの男がモニターから目を離し、興味深げに続きを促す。


「《片倉小十郎の趣味は畑いじり》だそうです」


男は眉をはねあげた。
























若いスタッフは、もう一度報告書を見た。


報告書の中で、

名無しはどこかの機能の異変を訴えていた。


それが、若いスタッフは気になった。






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